研究課題/領域番号 |
09F09787
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
芸術学・芸術史・芸術一般
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
四方田 剛己 (四方田 犬彦) 明治学院大学, 文学部, 教授
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研究分担者 |
ZAHLTEN Alexander 明治学院大学, 文学部, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
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キーワード | メディアミックス/トランスメディア / トランスナショナリズム / コンテンツ産業 / アニメ / 可能世界論 / 消費論 / 二次創作 / メディアミックス / トランスメディア |
研究概要 |
平成22年度には、日本のポップ・カルチャー・メディア、とりわけアニメ産業の経済的、政治的、そして法律的な枠組みの現状と変化について集中的な研究を行った。研究の目的は、現代のメディア化の著しい社会と日常生活の将来について推論を立てることにあった。実際の研究活動としては、該当する分野に関する資料を収集し、産業、法律、政策における関係者ならびに研究者を対象にインタビューを行った。そして、それぞれの分野におけるメディア戦略的な方向性の変移と、メディア作品自体の変容を比較対照し、メディアとその枠組みの相互関係を追究した。その結果、メディア系大衆文化の中でのパラダイムシフトが見えるようになった。「単品の商品」から「環境としての商品」へ、「消費者への情報伝達」から「消費者による参加」へと、「作品」の意味・役割が根本的に変わり始めていることが明らかになった。この過程に伴い、近代産業の基盤にあった需要と供給の間の厳密な境界は、新しいメディア環境の中で曖昧になり、「消費者」と「制作者」との識別が難しくなる傾向が現れている。国際的な文脈の中において例外的に盛んな日本のファン・カルチャーはこの状況を表している。同人誌、同人ゲーム、同人音楽などが実践媒体となっている二次創作物の世界は、この現象において最も注目されるべき分野だろう。今年度の研究においては、こうした動向を調査し、様々な二次創作作品を分析した。 研究成果をまとめるため、上述の境界の曖昧さについての考察を、平成21年度に行なったトランスメディア作品において中心的な「世界」、「可能性」と「アイロニー」という概念についての研究の結果と結びつけた。その結論として、現在のメディア環境には18世紀のロマン派哲学と似た原理が働いているという認識に至った。この符合の意味あるいは原因について考え続けることは、今後の研究において大きな刺激となるだろう。
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