配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2011年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2009年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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研究概要 |
本研究課題は神経系を構成する細胞数の少なさに着目し、ホヤ幼生に存在するニューロンの機能、特に遊泳運動に関するニューロンの機能を解明することを目標にしている。本年度はニューロンの活動イメージング、遊泳運動に異常のある突然変異体を得ることを目的とした変異体のスクリーニングを行った。 遊泳運動におけるニューロンの活動をイメージングすることを目的として、Ca^<2+>センサータンパク質である、GCaMP3,G-GECOをホヤ幼生の中枢神経系、及びモーターニューロンで発現させた。その結果、遊泳運動時の尾部の振りに合わせてG-CaMP3,G-GECOの蛍光が変化し、遊泳運動時における神経回路の活動をイメージングすることが出来た。今後、この実験系を用いて、様々なホヤ幼生の遊泳運動パターンを生み出す神経回路の活動パターンを明らかにする。 遊泳運動に異常のある突然変異体を得ることを目的として、Gal4エンハンサートラップ系統のスクリーニングを行い、神経系でGal4を発現するGal4エンハンサートラップ系統を多数単離した。このGal4エンハンサートラップ系統において、トランスポゾンの挿入箇所を決定したところ、約83%と非常に高い確率でエキソンや遺伝子のごく近傍にトランスポゾンが挿入されており、突然変異体の可能性が高いことが示唆された。得られたエンハンサートラップ系統のうち、幼生の視細胞に特異的なGal4系統であるGal4 ET L5について解析を行った。Gal4 ET L5はRNA結合タンパク質であるCi-musashiの3'UTRにトランスポゾンが挿入されていた。Gal4 ET L5のホモ個体を作製したが明確な表現型を得ることが出来なかった。幼若体の中枢神経系で最も強く発現するGal4 ET L6について解析を行った。Gal4 ET L6はMAPKの脱リン酸化酵素であるCi-DUSP1の5'UTRにトランスポゾンが挿入されていた。Gal4 ET L6のホモ個体を作製したところ、幼生では明確な表現型が得ることが出来なかったが、幼若体において心臓の収縮機構に異常が見られた。現在までに、遊泳運動変異体は単離できていないが、この変異体スクリーニングを継続することにより遊泳運動の変異体を単離することが出来ると期待している。
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