研究概要 |
樹立したイヌ血管肉腫培養細胞株におけるHomeobox遺伝子の発現を詳細に検討するため,市販のイヌ特異プライマーセットを用いたリアルタイムRT-PCR法でmRNAの定量を行った。しかしながら,実験に適した条件を設定することができず,Homeobox遺伝子のmRNAを定量することはできなかった。そのため,リアルタイムRT-PCR法を用いたイヌHomeobox遺伝子の発現量の定量は現時点では困難であることが明らかとなった。RNA干渉によるイヌ血管肉腫培養細胞株の形質変化を明らかにするためには,mRNAの定量が必須である。そのため,リアルタイムRT-PCR法による櫨NAの定量を可能にするプライマーセットの設計が必要であることが示された。 また,イヌ血管肉腫培養細胞株(3株)の遺伝子発現をヒト血管肉腫培養細胞株(ISO-HAS)およびマウス血管肉腫培養細胞株(ISOS-1)における遺伝子発現と比較した。mRNAの検出は,作製したプライマーセットを用いたRT-PCR法で行った。その結果,いずれのイヌ血管肉腫培養細胞株もVEGF-A, bFGF,それらのレセプターおよびHomeobox遺伝子(HoxA9, HoxB3, HoxB7, HoxD3, Pbx1およびMeis1)を発現しており,ISO-HASと類似した遺伝子発現が示された。一方,ISOS-1はVEGF-Aを発現しているものの,その他の遺伝子は発現していなかった。このことから,イヌ血管肉腫細胞株がヒト血管肉腫の研究に有用な細胞モデルとなる可能性が示唆された。
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