研究概要 |
本年度は,ウェアラブルコンピューティングのための行動認識技術に関する研究として,多様な行動を認識する手法を提案した.日常生活で起こりうる動作はその加速度波形の形状から「歩行」や「階段昇降」などの一定のパターンの繰返しから成る運動動作と,「腕を振る」などのジェスチャ動作に分類されるが,認識手法の違いから全てを同時に取り扱うシステムは存在しない.またジェスチャ認識では,ジェスチャ部分を明示するためにユーザに静止させるなどの非現実的な制約を課していた.提案システムでは加速度データの自己相関を求めることで,運動とジェスチャを自動的に分類し,適切な認識アルゴリズムを用いて認識する手法を確立した.評価結果より単一の認識アルゴリズムではRecall0.75,Precision0.59であるのに対し,提案手法ではRecall0.93,Precision0.92と大幅に改善した.本研究により,認識可能な行動の幅が広がり,日常生活における行動認識技術の普及につながると考える.本研究の成果はウェアラブルコンピューティング分野の最重要国際会議であるInternational Symposium on Wearable Computers(ISWC2010)において発表しており,情報処理学会論文誌に採録されている. さらには,センシングデータベースの構築において被験者から大量のデータを採取する必要があるが,その際,被験者への指示方法によって行われる動作に違いが生じることを確認した.具体的には,指示の具体度によって被験者間の動作のばらつきが生じたり,用いる語によっては指示が曖昧になる.本研究の成果はInternational Symposium on Wearable Computers(ISWC2011)に採録されている.
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