研究概要 |
意図した作業が正確にかつ効率的に行えるよう,把持の仕方を様々に変化させることは,経験的にかっ無意識に行っている行為である.そのため,デバイス自身がどのように把持されているかという「把持状態」をセンシングしそこから情報を取得することが可能である.そこで本研究では,「把持」動作を入力モーダルとして利用するデザイン支援システムを2種構築した. 一つ目は,握り動作をトリガとする作業映像検索支援システムである.把持圧の時間変化から把持状態の情報,瞬時的な作業の発生情報を取得し,作業記録映像の効率的な検索を実現するシステムを実装した.本システムを用いることで,作業と作業の合間の冗長なシーンを多く含む作業映像一般において,作業部分の効率的な検索が可能であることが確認された. また二つ目は,ペンの把持情報を利用するドローイング支援システムである.本システムでは,GUI要素を操作するのではなく,ユーザがドローイング時に自然に変化させるペンの把持位置や把持圧を用いて,ストロークのパラメータを調整することを可能とする.本手法を用いたドローイング支援システムを構築し,被験者実験によりその有用性を確認した. 本研究は,「把持」という日常生活で人間が道具を用いて何かを行う際には必ず行う動作を利用するものである.そのため,本インタフェースはデザインばかりでなく一般的に適用可能であると考えられる.また把持動作の習得過程における支援や,把持における技能の解析など発展性を多く含むインタフェース開発であると考えられる.
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