研究課題
特別研究員奨励費
本研究課題は、核小体因子MYBBP1Aによるp53活性化の分子機構の解明を目標としており、これまでに、(1)核小体内に存在するRNAによってMYBBP1Aは核小体内に係留されており、ストレスによってリボソーム RNA(rRNA)の転写が抑制されると核小体内のRNA量が減少し、その結果MYBBP1Aは核小体から核質へ移行する、(2)核質に移行したMYBBP1Aはp53に結合し、p53とアセチル化修飾酵素p300との間の相互作用を強化することで、p53のアセチル化を促進し活性かさせる、(3)リボソーム蛋白質L5(RPL5)とL11(RPL11)がrRNAの核小体外への輸送に必要であり、ストレスによる核小体内RNA量の減少と、それに続くMYBBP1Aの核質への移行とp53のアセチル化に関与していることを明らかにした。以上の結果をまとめた論文が、昨年2011年にThe EMBO Journalに採択された。今年度は研究実施計画の通り、MYBBP1Aの生体内における機能を明らかにすることを目標に研究を行った。マウス各組織におけるMYBBP1Aの発現量を解析した結果、どの組織においてもMYBBP1Aの発現が確認され、特に肝臓、脾臓、精巣において発現量が高いことが明らかとなった。MYBBP1Aのノックアウトマウスを作製した結果、ノックアウトマウスは胎生8.5日以前の発生初期に致死であることが明らかとなった。この結果から、MYBBP1Aがp53の活性制御に加え、発生の初期段階において重要な役割を担っていることが明らかとなった。ノックアウトマウスが胎性致死であったため、コンディショナルノックアウトマウスの作製に取り組み、すでにキメラマウス作製を終えている。現在、様々な組織特異的に発現する、Cre マウスとの交配を行っている。今後、Mybbp1aコンディショナルノックアウトマウスが作製できれば、細胞傷害反応、癌抑制能を個体レベルで解析する予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 286(23) ページ: 20861-20869
The EMBO Journal
巻: 30(6) ページ: 1054-1066
Biochem Biophys Res Commun
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http://yanagisawalab.org/publication/index.html