研究概要 |
1.定常運用3次元観測レーダ1・2号機の研究開発 設置が完了していた1・2号機に加え,3号機を枚方市に設置し,北大阪を覆う高分解能レーダネットワークのテストベッドが完成した.また昨年度に引き続き,他の地上観測機器との相互評価の観測データの蓄積を行った.しかし様々な降雨イベントに対して正確な評価を行う為にはややデータ量が不足しており,今後さらなる観測を行った上で評価結果としてまとめ,発表することを考えている.また二重偏波観測機能に関しては,基礎データサンプルの取得には成功したものの,連続観測において機器の不具合が発生しており,メーカと共に対策を行っている. 2.複数レーダによるネットワーク観測 (1)1・2号機によるネットワーク初期観測:初期観測結果についてサンプル数が少ないながらも定量評価を行い,下記に示す国内外での学会発表を行った.また詳細にまとめたものを論文として投稿が完了しており,現在査読を受けている.(2)レーダネットワークにおける空間分解能に関する考察:本レーダネットワークでは分解体積が交差することで分解能を改善させることができる,という利点を持つ.本有用性を,(1)と共に,国際学会及び論文としてまとめた.(3)レーダネットワークにおけるアルゴリズム開発:気象レーダが内包する潜在的な問題として,降水の量的評価の難しさが挙げられる.気象レーダネットワーク環境を用い,レーダ観測量から降水の物理量を出力する新しい規範のアルゴリズムをコロラド州立大学と共同で開発し,シミュレーションの結果,高い推定精度を得た.これらの結果については,次年度国際学会にて発表する予定であり,また論文も執筆中である.提案したレーダネットワークアルゴリズムの原理はマルチセンサ観測に適用可能であり,広く応用されることが期待されている. 3.大気現象の3次元分布の観測 前年度までに,これまで観測の難しかった日本海側に特徴的にみられる小規模の竜巻について,観測に成功していた.本年度は観測データの詳細な解析を行い.特に顕著な事例について,詳しい動態の知見を得るに至った.
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