研究課題/領域番号 |
09J00780
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
林 英一 慶應義塾大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 残留日本兵 / インドネシア / 国籍・市民権 / 社会史 / 日系インドネシア / ジャワ農村 / 虐殺の社会史 |
研究概要 |
2011年4月に日本学術擁興会研究者海外派遣基金第2回優秀若手研究者海外派遣事業にて派遣されていたガジャマダ大学文化科学学部歴史学科から戻り、1年間にわたる現地調査(現地の公文書館における文献収集と聞き取りを中心とするフィールドワーク)で得られたデータを整理した。 その上で9月に『Merekayang terlupakan:Memoar Rahmat Shigeru Ono.Yogyakarta:Penerbit Ombak(邦題『残留日本兵の記憶』2011年、波出版社)』という著書をインドネシアで出版した。これはインドネシア語ではじめて残留日本兵について論じた本で、そのため様々な反響が現地で起こった。 その模様については、『共同通信』、『毎日新聞』、『読売新聞』、『JAPAN TIMES』、インドネシアで最も影響力のある時事週刊誌といわれている『TEMPIO』などで記事が出た。また12月には『皇軍兵士とインドネシア独立-ある残留日本人の生涯』(2011年、吉川弘文館)という著書を日本で刊行した。これはインドネシア独立戦争後に残留日本兵がいかに国籍・市民権を取得し、現地社会に「内なる他者」として再統合されていったのかを、インドネシア残留日本人の典型的な人物であるフセン・藤山秀雄氏のライフヒストリーを描くなかで明らかにしたものである。以上のように現地語で研究成果を発表するとともに、現地側の視点から研究対象をとらえ直すことによって、従来、ジャーナリスティックな観点あるいは政治外交史の視角から、その歴史的役割が論じられていたインドネシア残留日本兵の実像に、社会文化史的な視点から迫ると込う.当初の目的をある程度達成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年間の採用期間中、日本での文献調査と現地でのフィールドワークをバランスよくこなし、日本語と現地語でインドネシア残留日本兵の社会史を主題とする書籍・論文を刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は「インドネシア」.という国民国家の枠を超えて、オランダ領東イ著ド(現在のインドネシア)、フランス領インドシナ(現在のベトナム、ラオス、カンボジア)、イギリス領マラヤ(現在のマレーシア、シンガポール)、イギリス領ビルマ、アメリカ領フィリピン、タイ、中国、ソ連(現在のロシア)といった、アジア全土で発生した残留日本兵の歴史を総合的に研究していきたいと考えている。
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