研究課題/領域番号 |
09J00847
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
美学・美術史
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西嶋 亜美 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ドラクロワ / 絵画と演劇 / 新古典主義 / 美術批評 / 版画 / 十九世紀絵画 / クールベ / 十九世紀フランス |
研究概要 |
本研究は、ドラクロワを中心とする19世紀前半の歴史画・物語画と演劇との相互関係を、主題、表現や理論における類似や差異から考察する。引き続きパリ第四大学美術史考古学研究所の招待研究生としてパリに滞在し、地方やイギリス、ドイツ、スイスでの調査も行いつつ研究を進めた。 まずは論文「ドラクロワ作「墓地のハムレットとボレーシオ」諸作品の考察-演劇の豊饒さから絵画独自の効果へ-」(『美術史』第172冊掲載)で、『ハムレット』五幕一場を描くドラクロワの複数作品を、仏訳戯曲、舞台上演、先行作例との関連を踏まえて検討し、感覚に与える刺激の強烈さで演劇に及ばない絵画というメディアの生かし方を考え抜いた画家の取り組みとして解読した。 次に、ドラクロワ作《ヴェネツィア総督マリノ・ファリエロの処刑》(ロンドン、ウォレス・コレクション、1827年)を中心に、絵画と演劇の視覚的な相互関係を扱う研究を開始した。複数の脚本の比較検討に加え、近年の研究成果に負いつつ舞台装飾関連の資料を調査し、平成23年12月の京都美学美術史学研究大会にて発表を行った。 加えて19世紀半ばの古典古代像とその表象の研究も進めている。考古学の成果で古代イメージが塗り替えられ視覚的参照源も増える中で、絵画制作における文学・歴史・理論の役割の変化を実作品と美術教育の両面から調査中であり、2012年5月にパリで開催される国際若手研究集会にて報告を行う。 さらに、京都大学グローバルCOE「親密圏と公共圏の再編成を目指すアジア拠点」の共同研究の枠で行った睦み合う男女の表象についての考察を続行している。クールベ作《田園の恋人》(1844年頃、リヨン美術館)において、「現実の」恋人描写の際に文学や物語画に影響を受けた森という背景と、大流行したワルツの身体感覚が果たした役割を、版画の調査を踏まえ提案した。論文は今後の査読を経て受理されれば書籍に収録される予定である。
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