首都圏・関西圏の大学2校の大学生を対象とした質問紙調査を行った。調査は、講義の最中に質問紙に回答する形式で行われ、計232名の有効回答を得た。 本調査で検証したかったのは、既存の対人関係維持傾向が高い人が、ICTを用いることによって、物理的・社会的に離れた友人との関係を維持しうることが容易になった結果、多様性のある人間関係が構築されるか否か、という点であり、得られたデータはその予測を支持するものであった。 続いて、大学生調査で得た結果を受けて、より友人関係を詳しく調べる調査を設計し、実施した。都内の高校の第2学年全体を対象とした質問紙調査を行った。さらに回答者から、学校外の友人2人に対して調査票を郵送し、友人からの回答も得た。その結果、特に、ICTにより関係を保つ、物理的・社会的に離れた友人は、身近な友人と比べて「異質性が高く、同質性も低いと本人が認知する」のみならず、「実際に社会や政治に関する知識量や態度が異なっている」ということがわかった。これは物理的・社会的に離れているほど、生活環境や得られる情報が異なるため、結果として社会や政治に関する知識量や態度が異なってくると考えられるからである。そしてその結果、当然のこととして、対人ネットワークの多様性も、物理的・社会的に離れた友人との関係が保たれているほど高くなると考えられるのである。
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