研究課題/領域番号 |
09J01986
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 龍太郎 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2010年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 送粉共生 / 相利共生 / 植物-昆虫相互作用 / 植物-動物間相互作用 / 進化的安定性 / 制裁機構 / カンコノキ / ハナホソガ |
研究概要 |
カンコノキ属植物(以下カンコノキ)はハナホソガ属(以下ハナホソガ)の雌成虫によってのみ送粉されるが、ハナホソガは幼虫の餌としてカンコノキの種子のみを利用する。そのため、両者の関係は相互に依存しあった絶対相利共生関係である。ハナホソガの雌成虫は、幼虫の餌を確保するために能動的に送粉を行い、その後自身が授粉した花に卵を産みつける。もし同じ花に重複産卵する状況が起これば、果実あたりの種子食害量が増加し、植物が送粉によって得る利益が少なくなってしまう。それゆえ、カンコノキとハナホソガの相利関係が長期に渡って安定に保たれるには、送粉者の重複産卵の試みに対して、植物が何らかの制裁機構を保有することが不可欠だと予測されてきた。これまでの研究で、ウラジロカンコノキは重複産卵された花を果実まで成熟させずに中絶させやすいことが分かっている(Goto et al. 2010)。この機構によって、植物は食い尽くしが起こる可能性が高い果実への無駄な資源の投資を事前に防げるとともに、重複産卵を行ったホソガに対して制裁が加えていると考えられる。本年度は、このような機構が、相利共生の安定性にどの程度寄与しているのかをより深く理解するために、奄美大島のウラジロカンコノキ3集団において、果実あたりのハナホソガの卵数、幼虫数、被食害種子数について調べた。その結果、どの集団においても、果実あたりの卵数、幼虫数、被食害種子数は少なく保たれており、選択的中絶が効果的に働いていることが示唆された。また、花の選択的中絶以外の種子食害の抑制機構として、ハナホソガの若齢幼虫に捕食寄生するコマユバチ科の役割についても検証した。さらに、西アフリカのツチトリモチ科植物について調査を行い、この植物がカンコノキ属植物によく似た送粉共生をもつことを突き止めた。この系とカンコノキ系などとの比較により、絶対送粉共生の進化について重要な示唆が得られると考えている。
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