研究課題/領域番号 |
09J02127
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
発生生物学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三井 優輔 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2009 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
|
キーワード | Wnt / sFRP / ヘパラン硫酸 / アフリカツメガエル / 拡散 / シグナロソーム / 拡散性 / モルフォゲン / 定量生物学 / 抗体 / 糖鎖 / 分泌性蛋白質 |
研究概要 |
本年度はこれまでの知見を元に、Xenopus初期胚において、WntBやFrzbを細胞間隙で保持している分子的実体を同定することを目指した。mVenus-Wnt8とmVenus-Frzbは、Xenopus胚の細胞間隙にドット状あるいは不均一な分布を示した。そこで、ヘパラン硫酸(HS)分解酵素を用い、内在のHSを分解した条件下で、Wnt8やFrzbの分布を検討し、また内在のHSの分布を免疫染色で検討した。その結果、N-acetyl HS及びN-sulpho HSが細胞間隙にドット状の微小構造を形成していることを見いだし、HS nanostructures(HSNS)と名付けた。この構造はヒト由来のHeLa細胞にも見いだされたことから、多くの細胞に共通する基本細胞構造であると考えられる。さらにWnt8は主としてN-sulpho HSに、Frzbは主としてN-acetyl HSの微小構造に結合することを明らかにした。更にFrzbを共発現させたうえでWntBの分布を検討したところ、Frzbと同様にN-acetyl HSNSとの共局在が促進された。Xenopus胚において、N-sulpho HSおよびN-acetyl HSの二重染色をおこなったところ、細胞内ではN-sulpho HSのドットが見られる一方、N-acetylHSのドットはほとんど見られなかったことから、N-sulpho HSのほうが細胞内へ取り込まれやすい可能性が示唆された。このHSNSの細胞内への敢込みの差は、先に示されていたWntとFrzbの「見かけの拡散係数」の差と併せて、Wnt8とFrzbの分布範囲の差を生み出す制御機構だと考えられる。 更にWnt及びFrzbの分布の制御のみならず、Wntのシグナル受容に関しても重要な結果が得られた。Wntは細胞内に取り込まれて、いわゆる「シグナロソーム」を形成するが、これにN-sulpho HSが含まれていることを示したことで、Wntのシグナル受容はN-sulpho HSの微小構造が「シグナロソーム」の核となることを初めて明らかにした。とくに本研究においてXenopus胚とHeLa細胞で内在性のシグナロソームを確認できたことは世界に先駆けての重要な知見である。
|