研究課題/領域番号 |
09J02310
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
機能物質化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田原 圭志朗 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2010年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ビタミンB12 / 光触媒 / 高分子 / ハイパーブランチポリマー / 酸化チタン / バイオインスパイアード / 光駆動型 / 有機色素増感剤 |
研究概要 |
天然のB_<12>依存性酵素は、官能基転位反応・メチル基転移反応・脱ハロゲン化反応など様々な物質変換反応を触媒することが知られている。本申請研究では、酵素そのものを用いるのではなく、活性中心モデル錯体と人工の代替材料を組み合わせることで、環境調和型バイオインスパイアードシステムを構築することを研究の目的としている。前年度までの研究で、バイオインスパイアードシステムの一つとして、ビタミンB12、多分岐高分子担体、酸化チタン光触媒からなる複合システムを構築し、紫外線を駆動力とする有機ハロゲン化物の効率的脱ハロゲン化および二量化選択性の向上を達成した。また、新たなバイオインスパイアードシステムの一つとして、ビタミンB12と有機色素増感剤(ローズベンガル)からなる可視光駆動型物質変換システムの構築を試みていた。 本年度は、可視光駆動型物質変換システムを有機ラジカル反応等の有機合成反応へ適用することを検討した。今回、基質として活性化されていないアルキルハライドを用い、アシル基の1,2-転位反応に伴う選択的環拡大反応を行うことに成功した。本反応は複雑な骨格を有する天然物や生理活性化合物の合成に重要であり、本研究ではこれを貴金属フリーかつ可視光駆動型のプロセスで達成した点で非常に意義が大きい。また、基質として活性化されていないアルキルハライドを用い、オレフィンへのラジカル付加反応を行い、炭素-炭素結合の生成反応に成功した。 以上、本年度では、可視光駆動型物質変換システムを有機合成反応へ適用することに成功し、本申請研究の実施計画を完遂し、環境調和型バイオインスパイアードシステムを構築するという目的を達成した。本研究は、生体模倣にとどまらず、それを凌駕する機能を目指すバイオインスパイアード化学の潮流と符合するものであり、本研究で得られた知見は、酵素や生体系を範とした触媒系構築に当たって有用な指針を与えるものである。
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