研究概要 |
1)エンハンサー比較解析ナメクジウオ(Branchiostoma belcheri)のgscの5'側領域のエンハンサー活性を、Xenopus胚を用いたトランスジェニックレポーター解析で調べた結果、レポーター遺伝子がナメクジウオ様の発現を示したことから、頭部オーガナイザーの進化におけるgscエンハンサーの進化が明らかになった。 2)イソギンチャク胚でのLhx1過剰発現実験解析イソギンチャク(Nematostella vectensis)胚へのmRNA顕微注入実験を行った結果、蛍光タンパク質恥nusを融合したNematostella Lhx1強活性化型コンストラクト(共役因子Ldb・Ssbpとの融合コンストラクト)を発現させた胚で二次軸誘導が観察された。 3)Gscおよびヒストン修飾のChIP-seq解析および遺伝子過剰発現胚のRNA-seq解析 (i)ネッタイツメガエル原腸胚と、抗Gsc抗体、抗ヒストンH3K4me1抗体、抗ヒストンH3K27ac抗体を用いてChIP-seq解析を行った。その結果、GscとOtx2との協調的な遺伝子抑制機構や、Lhx1,Otx2,Gscの結合するシス制御領域のエピジェネティックな状態が明らかになった。(ii)ネッタイツメガエル胚にOtx2とTle1を帯域に過剰発現させたものを原腸胚で回収し、RNA-seq解析を行った。さらに、頭部オーガナイザーミックス(Lhx1,Otx2,Gsc,Ldb1,Ssbp3,Tle1)を背側もしくは腹側の帯域に発現させ、発現させた側を胚全体の約三分の一切り取り、RNA-seq解析を行った。加えて、原腸胚の帯域を外科的に切り取り、RNA-seqを行うことで、帯域に発現する遺伝子の網羅的同定を試みた。これらの結果から、原腸胚帯域における遺伝子発現制御機構がゲノムワイドに解析可能になった。
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