研究課題
特別研究員奨励費
これまで本研究室では、プロテオミクス的アプローチにより、ヒト正常線維芽細胞株(TIG-1)の細胞老化に伴い発現変化を示す16種のタンパク質を同定している。データベース解析により当該遺伝子を同定後、定量RT-PCRを行い、これら16種のうち7種の遺伝子をTIG-1細胞の分裂老化に伴い発現変化を示す細胞老化関連因子(Senescence-Associated Genes: SAGs)として同定した。これらSAGsの中で、ゴルジ体の構造・機能維持に機能していることが知られている遺伝子SAq15に着目し、細胞老化の進行に伴うゴルジ体の崩壊メカニズム、さらにはその崩壊へのSAG15の寄与を明らかにすることを目的として研究を行った。細胞老化関連因子による細胞老化誘導能を定量的に評価するために、イメージングサイトメーター(IN Cell Analyzer 1000)を用いた。まず、この遺伝子SAG15の細胞老化誘導における原因性を検証するために、若いTIG-1細胞におけるSAG15遺伝子のノックダウンを行った。その結果、老化マーカーとして知られるp21、p16の発現増強及びSA-β-Gal活性の増強、さらには増殖能力の低下といった細胞老化様の表現型を示し、SAG15のノックダウンが細胞老化を誘導することが明らかとなった。また、このSAG15ノックダウン細胞では、老化細胞に見られるようなゴルジ体の面積増大、分散化が認められた。次にゴルジ体におけるSAG15の機能性を検証するために、老化したTIG-1細胞においてSAG15を強制発現した。その結果、老化細胞において構造変化が見られるゴルジ体が、SAG15遺伝子の導入とともに、細胞核近傍に集まる様子が確認された。このゴルジ体の核周辺への集積は若いTIG-1細胞で見られるものであり、SAG15導入によるゴルジ体の構造・機能修復の可能性が考えられた。つまり、SAG15が細胞老化に伴うゴルジ体崩壊の原因であることが考えられた。
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