研究課題/領域番号 |
09J02906
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
育種学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
門田 有希 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ゲノム進化 / 次世代シークエンサー / 転移因子 / イネ近縁種 / 大規模解析 / 構造変異 / 比較ゲノム / イネ / トランスポゾン / 転移制御 / siRNA / メチル化 |
研究概要 |
<具体的な研究内容> イネは2004年に日本晴の全ゲノム塩基配列が解読され、遺伝子の同定および機能解析が盛んに進められている。近年は、次世代シークエンサーを用いた比較ゲノム解析により、コシヒカリおよび雄町と日本晴との間において、それぞれ約67,000箇所、約130,000箇所の一塩基多型(SNP)が同定された。しかし、短いリードをReference genomeにマッピングし、小さな変異を同定する手法では、欠失、挿入、逆位等、大きな構造変異を同定することはできない。そこで本研究では、銀坊主のゲノム配列を高い精度で解読、新規コンティグを用いた比較ゲノム解析により、多様なゲノム構造変異についても明らかにした。 イネ品種銀坊主を用いて、二種類のライブラリー(500bpのPair endlibrary、3kbのMate pair library)を作成、Hiseq2000によりシークエンス解析を行った。得られた配列を、日本晴ゲノム配列にマッピングした後、123,299か所のSNP、43,480箇所の短い欠失および挿入を同定した。さらに、複数のソフトウェアを組み合わせ、数100bpから数100kb以上に及ぶ大きな構造変異を1500箇所以上同定した。その後、銀坊主の新規コンティグを作成し、マッピング解析により得られた構造変異の妥当性を検証した。確認された構造変異の70%は、転移因子配列の切り出しもしくは挿入によるものであり、転移因子を介して生じたと思われる逆位も複数存在した。 <意義および重要性> 今回の研究結果から、イネ近縁品種間において大規模なゲノム構造変異が多数存在していること、並びに、このような構造変異に転移因子が密接に関与することを明らかにした。これは、自殖性作物であり遺伝的均一性の高いイネにおいて、転移因子を介したダイナミックなゲノム進化が短期間に進行することを示す重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
転移因子mPingが爆発的に増殖しているイネ品種銀坊主の全ゲノム配列を解読し、近縁品種である日本晴と比較することにより、mPingの転移がゲノム構造に及ぼす影響の解明を試みた。その結果、実験前の予想とは大きく異なり、mPing挿入だけでなく、種々の転移因子の挿入に関して多数の違いが検出された。つまり、イネ近縁品種間において、多様な転移因子の挿入および切り出しによる変異を多数同定した。自殖性作物であるイネは、遺伝的均一性が高いとされているが、進化的に極めて短期間で、多様な転移因子によるダイナミックなゲノム進化が起きていることを示唆する報告は初めてである。
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今後の研究の推進方策 |
今後はイネ品種銀坊主において、次世代シークエンサーを用いたRNA-sequencingを行うことにより、全遺伝子の発現量および転写配列の解析を網羅的に行う。これにより、転移因子mPingが遺伝子の発現量および遺伝子配列に及ぼす影響を明らかにする。
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