研究課題/領域番号 |
09J03033
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
仲澤 剛史 京都大学, 生態学研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 群集 / 食物網 / 生態系 / 個体群ダイナミクス / 個体成長 / 数理モデル / 安定同位体 / 表現型可塑性 / 気候変動 / レジームシフト |
研究概要 |
1.京都大学生態学研究センターに保管されている琵琶湖産イサザの長期アーカイブ標本を用いて、昨年度から実施してきた胃内容分析データの再解析を行った。特に、昨年度にできなかった定期環境モニタリングデータを用いた要因分析を実施し、琵琶湖における富栄養化と魚類の食性の関係を明らかにした。その結果、富栄養化は環境中の餌の量や組成に影響して魚類の食性への波及効果を持つものの、その効果は魚類の体サイズに依存した餌選択の効果よりも小さいことがわかった。イサザの体サイズは、個体数減少に反比例するように80年代から急激に増加したことがすでに知られており、餌環境よりもこのような捕食者魚類の体サイズの条件が魚類の食性の決定要因になっているようである。これまでに得られた結果をふまえて、一連の知見を論文にまとめて学術雑誌に投稿した。加えて、これらの研究成果は国際的な海洋陸水学会で来年度に発表される予定である。 2.上述の実証研究に加えて、数理モデルやデータ解析による理論研究も実施した。特に、世界中の海産魚類の胃内容データ(約30,000捕食イベント)を解析し、特に捕食者である魚類と餌生物の相対的な体サイズに着目して、魚類の餌利用特性を明らかにした。その結果、やはり魚類の食性には体サイズのダイナミクスが重要な影響を持っていることが明らかになった。上述の実証研究の知見と合わせると、生態系のダイナミクスを理解するためには、既存の個体数ダイナミクスだけではなく、生態系の構成メンバーの体サイズ組成を理解することが重要であることが示唆された。この研究成果は生態学における有名なシリーズであるAdvances in Ecological Researchに掲載された。加えて、季節性といった気候変動要因が生態系にどのような影響を与えるのかという問題にも取り組み、その成果も国際的な学術雑誌に掲載され、アメリカ生態学会でも発表された。
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