研究課題/領域番号 |
09J03578
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅野 康太 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ドーパミントランスポーター / HESRファミリー遺伝子 / 遺伝子多型 / 行動解析 / プレパルスインヒビション / アンドロゲン / 転写因子 / HESRファミリー / 非翻訳領域繰り返した型(VNTR) / ルシフェラーゼアッセイ / 中脳黒質 / 中脳腹側被蓋野 |
研究概要 |
申請者は麻薬の標的でもあるドーパミントランスポーター(DAT)発現制御の研究を行ってきた。ヒトDAT遺伝子の3'UTRの非翻訳領域には遺伝子多型領域があり、この領域を介してHesr1というタンパク質がDAT発現を制御している可能性が、申請者の大学院所属研究室の過去の研究で見出されていた。申請者は、このHesr1がマウス脳でドーパミン神経に発現すること、Hesr1ノックアウト(KO)マウスで統合失調症に関わるプレパルス抑制という驚愕反応抑制が上昇し、この上昇がドーパミンアゴニストでレスキューされること、アゴニストへの感受性がこのKOマウスでは野生型よりも低いことを示した。また、Hesr1 KOマウスではDATのmRNAが有意に減少していた。このことは、Hesr1がドーパミン神経系を調節し感覚調節に関わる可能性を示唆すると考えられる。この研究は国立遺伝学研究所発生工学研究室およびマウス開発研究室との共同研究である。 また、Hesr1の共役因子として知られ、男性ホルモンの受容体であるアンドロゲン受容体(AR)をHesr1と培養細胞に共発現させ、DAT発現の制御領域である上記の3'UTRを持つルシフェラーゼレポーター遺伝子の活性を測定したところ、Hesr1とARを共発現させた場合、Hesr1単独で発現させた場合よりも、活性が下がることが分かった。このことは、Hesr1とARが共役するとDAT発現を下げることを示唆するが、DATは男性もしくは雄で女性・雌よりも発現が低いことがわかっており、上記の結果はこの性差形成の分子メカニズムの一つである可能性が高いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した通り、我々が注目している遺伝子Hesr1のノックアウトマウスを用いた行動解析から、統合失調症や発達障害で異常がみられるプレパルス抑制の変化を見出し、予定通りドーパミン神経系が関わる認知・行動を同定出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
Hesr1遺伝子には一塩基変異の存在が知られているが、この変異を持つ人とそう出ない人の認知機能を心理学的に調査し、in vitroで変異型Hesr1の特徴を解析することで、より一層の理解が期待出来る。
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