研究課題/領域番号 |
09J03828
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
石澤 通康 日本大学, 医学部・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ビタミンD / リトコール酸 / 胆汁酸 / ビタミンD受容体 / ビタミンD受容体欠損マウス / 大腸癌 / 核内受容体 / カルシウムチャネル / 大腸がん |
研究概要 |
リガンド依存性転写因子ビタミンD受容体(VDR)のリガンド選択的作用機構解明を目的とし、細胞及び動物での研究を進めた。1、細胞レベルでの研究:先行研究では腸管由来細胞株において、VDR標的遺伝子transient receptor potential vanilloid 6(TRPV6)の転写誘導パターンが活性型ビタミンD_3と胆汁酸lithocholic acid(LCA)誘導体において異なることを見出した。昨年度までに、p38阻害剤はTRPV6遺伝子選択的に転写誘導を阻害すること、リガンド依存性のTRPV6プロモーター活性に対してp38阻害剤の効果が軽微であること、タンパク質合成阻害剤シクロヘキシミド処理によってTRPv6転写が顕著に抑制されることを明らかにした。本年度は、p38αのsiRNA導入実験を検討した。活性型ビタミンD_3依存性のTRPV6転写は、p38α siRNAによって抑制された。一方、代表的なVDR標的遺伝子Cytochrome P450 24a1(CYP24A1)は抑制されなかった。さらにTRPV6転写誘導に必要な新規合成タンパク質候補として、growth arrest and DNA damage-inducible gene 45A(GADD45A)を同定した。GADD45Aは活性型ビタミンD_3処理1時間から3時間の間に発現誘導した。GADD45A siRNAの導入は、活性型ビタミンD_3によるTRPV6転写誘導を抑制した。CYP24A1転写誘導はGSAD45A siRNAに影響を受けなかった。以上の結果より、活性型ビタミンD_3によるTRPV6選択的な転写誘導メカニズムにp38とGADD45Aが関与することを明らかにした。2、動物での研究:先行研究では、マウスにおいて1αヒドロキシビタミンD_3と同程度に、LCA誘導体はCyp24a1を誘導したが、Trpv6の転写誘導と血中カルシウム濃度上昇は見られなかった。昨年度は、マウスCyp24a1のVDR標的臓器における転写誘導を評価し、活性型ビタミンD_3の効果が十二指腸及び空腸で強く、LCAの効果は回腸で最も強いことを示した。さらにVdrヘテロ及びホモ欠損マウスを用い、回腸での網羅的遺伝子解析を行い、LCA選択的なVDR標的遺伝子の候補遺伝子について、野生型マウスとVdr欠損マウスに活性型ビタミンD_3又はLCAを投与し、リガンド依存性発現変化と、VDR依存性発現変化を評価した。本年度は、腸管部位別の胆汁酸トランスポーター、胆汁酸結合タンパク質発現レベル、リガンド依存性発現変化を比較し、LCAの腸管部位選択的なCyp24a1転写誘導メカニズムを解析した。LCAがCyp24a1を効果的に転写誘導する回腸では、他の腸管部位に比べて胆汁酸トランスポーター、胆汁酸結合タンパク質の発現が顕著に高く、LCAを組織内に多く取り込みやすいことが示唆された。以上の結果は胆汁酸代謝関連の病態機構解明に有用である。
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