研究課題
特別研究員奨励費
昨年度までの研究により、E23の輸送物質を得ることができていた。その物質とはが昆虫ホルモンであり、脱皮変態を誘導することで良く知られているエクダイソンである。本年度では我々が確立した培養細胞でのアッセイ系により、エクダイソンは時計遺伝子vrilleとE23自身の発現を制御していることが明らかにできた。次にE23の発現領域を調べるために抗体作製を行った。得られた抗体による染色結果は思わしくなかったため、E23のプロモーターgal4系統の作製を行った。この系統ではE23の発現組織でgal4が発現するため、例えばUAS-GFP系統と交配することでショウジョウバエの脳内でのE23の発現部位を確認できる。その結果、E23は第3イントロン領域で制御されており、発現領域は脳内の時計細胞、特にその中でも最も上流に位置すると考えられているペースメーカーニューロンで発現していることが明らかとなった。つまりこれらの結果から、E23の制御因子はエクダイソンおよびCLK/CYCである可能性を示唆することができた。これまで得られた全ての結果全てを以下にまとめる。時計遺伝子のvrilleはCLK/CYCだけではなく、昆虫ホルモンであるエクダイソンによっても発現の制御を受けていることが分かった。また、E23も同様の制御を時計細胞内で受けている。一方で、発現したE23はエクダイソンを細胞外へ排出する機能を備えているため、自分自身およびvrilleの転写を負に制御している。これにより、今までの報告されていた概日リズムの制御がCLK/CYCによる転写・翻訳によるフィードバックだけではなく、それがホルモンによっても制御を受けるうえ、膜タンパク質E23がそのホルモンの細胞内量を変化させることでより安定なフィードバックループを形成している可能性を示唆することができた。
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Applied Entomology and Zoology
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