研究課題/領域番号 |
09J03885
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
動物生理・行動
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
池野 知子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 光周性 / PDF / ホソヘリカメムシ / 概日時計 / RNA干渉 / 免疫組織化学 / 微細手術 / オプシン / 概日リズム / 概日時計遺伝子 / クチクラ形成リズム / RNA干渉法 |
研究概要 |
1.複数の昆虫で概日時計の出力因子であり、脳内の概日時計細胞で発現すると考えられているpigment-dispersing factor(pdf)遺伝子がホソヘリカメムシの概日時計や光周性に重要であるのか調べるため、まずは本種からpdf遺伝子を単離し、その塩基配列を明らかにした。次に、mRNAの発現が概日時計によって制御されているのかを調べるため、頭部でのmRNA発現パターンを調べたところ、長日(16時間明期8時間暗期)・短日(12時間明期12時間暗期)共に振動はみられなかった。また、脳内の視葉基部に細胞体をもつPDF免疫陽性ニューロンの染色強度を調べたが、こちらにも明瞭な振動はみられなかった。これらの結果は他の昆虫で報告されている結果と一致し、本種でもpdfのmRNAやペプチドの発現そのものは概日時計によって制御されておらず、その発現パターンも光周期情報を反映しないことがわかった。 2.pdf遺伝子やPDFペプチドが本種の光周性に重要であるのかを調べるため、RNA干渉法によってpdf遺伝子の発現を抑制し、光周性に与える影響を調べた。作製した二本鎖RNAを注射したところ、pdf mRNAの発現はみられなくなり、またPDFペプチドの発現も大きく低下していた。しかし、RNA干渉個体は長日では卵巣が発達、逆に短日では卵巣発達を抑制し体眠に入っており、正常な光周反応を示した。このことから、本種の光周性にはpdf遺伝子やPDFペプチドは重要ではないと考えられる。 3.視葉のPDF発現細胞が本種の光周性に重要であるのかを調べるため、タングステン針を用いて微細手術によりPDF発現細胞を含む領域を除去し、光周性に与える影響を調べた。コントロール手術、つまりPDF発現細胞を含まない領域の除去を行った個体では正常な光周反応がみられたが、PDF発現細胞を含む領域を除去した個体では光周性が失われ、長日・短日どちらでも卵巣の発達がみられた。したがって、PDF発現細胞を含む領域が本種の光周性において重要な役割を果たしていると考えられる。
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