研究概要 |
本研究は,後期中新世の気候変化と草本植生の種多様性増加の過程を、大型植物化石を用いて調べ、モンスーン気候の発達が草本植生に与えた影響を明らかにすることを目的としている。本研究では、大型植物化石、特に種実化石に着目し、草本フロラも含めて古植生を詳細に復元する。また、植物化石の堆積環境や化石群の種構成から各植物分類群の過去の生育立地も復元した。 本年度は研究の成果を論文として公表することに重点をおいた。また、後期中新世の広範囲の古植生を復元するため、長野県の化石産地での野外調査も実施した。 研究成果としては、本研究の主な調査地である埼玉県の楊井層の年代が800~1000万年前のものであることが、ジルコンを用いたFT年代測定結果から明らかになった。これにより楊井層の植物化石フロラの年代が明らかとなり、他地域の同年代の化石フロラとの比較が可能となった。この成果は、日本地質学会の地質学雑誌に論文が受理され、印刷済みである。さらに、古植生を詳細に復元した結果、日本から絶滅した草本のプロセルピナカ属や木本のメタセコイア、スイショウ、フウ属は低地に生育し、ブナやフサザクラ属など現在も日本に分布する分類群の祖先種や近縁種は山地斜面などに生育していたことが明らかとなった。本研究により、過去の生育立地が、その後の植物の絶滅や繁栄過程に大きく関係している可能性が明らかとなった。古植生復元の結果は、メルボルンで行われた国際植物学会議で発表を行った。
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