研究概要 |
本研究は、従来地震探査で用いられていたコイル型の地震計からMEMS型加速度計に移行することにより、地震探査の問題点となっていた重量・安定性・簡便利用を行うものである。このMEMS加速度計を使用することによる利点である以下の点を達成するために、機器の調整・改造および二種の実地試験を経て、新世代の地震探査システムのプロトタイプ作成を行うのが最終的な目標である。 1.S/N比向上のための設置手法の検討(小型素子である利点の活用) 2.長周期(深部データ)・短周期(浅部データ)震源波形の同時測定(広帯域データ取得という利点の活用) 3.単一震源からのP/S波同時検出(3成分データが簡易に取得可能である利点の活用) 今年度は主に1のテーマにおいて、特にS/N比を向上させる主目的から、地中埋設型設置時の三成分広帯域取得法を確立することに中心をおいた。従来,水平方向においてはいくつかの判定方法がとられ,地震計の設置方位推定が可能となっていたが鉛直方向については困難であり,鉛直方向には正確に設置しなければならないため,設置するには相当の時間が要した. そこでMEMS型加速度計を用いて重力加速度を検出し垂直成分分離を行い、さらに制御震源による水平成分方位判定を行う簡便な手法を検討・実施した。大学構内における数回の試験と、大規模地震探査(発破震源を用いる)においての実地試験から、判定法の精度・誤差等を検討した結果、従来使用されている判定法と比較しても十分な結果が得られた。同時に装置設計において、構内実験では電気ノイズを多く拾っていた為、回路部および接続ケーブル・給電ケーブル類をいくつか試作し、収録データにノイズが混在しないよう回路設計を行った。また、野外試験で収録されたデータは、深部構造探査のデータと比較・検討を行うことで特に長周期データの比較を行っている。
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