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戦後西ドイツ・ルール地方における環境意識の変容

研究課題

研究課題/領域番号 09J04117
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 西洋史
研究機関京都大学

研究代表者

岡内 一樹  京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2009 – 2011
研究課題ステータス 完了 (2011年度)
配分額 *注記
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2011年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2010年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2009年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
キーワード現代史 / 環境史 / ドイツ / ルール地方
研究概要

本研究全体の目的は、第二次世界大戦後の西ドイツ・ルール地方における環境意識の変容を、一次資料の分析によって明らかにすることである。本年度は、1960年代後半から80年代前半までの時期の森林行政・自然保護行政関連文書を、主な分析対象とした。
分析の結果として、散策・保養地としての森林に対するルール地方住民の関心が、1960年代にとりわけ高まったことを明らかにした。この動向は、モータリゼーションの進展と週5日労働制(週休2日制)の普及によって、市民が手軽な移動手段と多くの余暇時間を手に入れたことを背景としていた。これを受けて、ルール地方を含む州であるノルトライン=ヴェストファーレン州では1969年に森林法が改正され、第三者の私有林に散策・保養目的で立ち入ることが法的に認められるに至った。同法は、これに続いて制定ないし改正された他州の森林法、さらには1975年に制定された西ドイツ森林法にも、少なからず影響を与えた。
この分析結果の学術的な意義は、先行研究とはやや異なる歴史解釈を提示できたことにある。1960年代末から70年代にかけての西ドイツにおける様々な環境立法の整備については、同時期の国際的な環境保護運動の高まりを受けた動向と解釈されるのが、通例であった。この時期の環境保護運動は、自然環境を人間社会の発展によって失われていく存在と捉え、前者を後者から隔絶して「保護」することを重視する傾向にあった。しかしながら森林法の整備においては、それに先立つ60年代からの、市民の散策・保養地として森林を「利用」するという議論が、契機となっていたのである。また、このようなドイツにおける歴史的経緯を明らかにしたことは、狭義の林業(木材生産)という論点に縛られがちな、現代の日本における森林関連諸法をめぐる議論を再考するにあたっても、重要な視座をもたらしうると考えられる。

報告書

(3件)
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 2009 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ルール地方の煙害と森林行政(1952-1966)2011

    • 著者名/発表者名
      岡内一樹
    • 雑誌名

      史林

      巻: 94巻6号 ページ: 58-91

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Wem gehort der Wald? Natur in der bundesdeutschen Gesellschaft 1950-1975(森は誰のものか?ドイツ連邦共和国社会の中の自然1950-1975)2012

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Okauchi
    • 学会等名
      Kolloquium zur Sozial, Wirtschafts- und Technikgeschichte(経済・社会・技術史コロキアム)
    • 発表場所
      ボーフム・ルール大学(ドイツ)
    • 年月日
      2012-01-24
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] 大気汚染へのドイツ技術者の視座-1960年代を中心とした日本との比較史的考察-2009

    • 著者名/発表者名
      岡山一樹
    • 学会等名
      日本国際文化学会第8回(2009年度)全国大会
    • 発表場所
      佐賀大学(本庄キャンパス)
    • 年月日
      2009-07-04
    • 関連する報告書
      2009 実績報告書

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公開日: 2009-04-01   更新日: 2024-03-26  

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