研究課題/領域番号 |
09J04130
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長岡 慎介 京都大学, 東南アジア研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | イスラーム経済論 / イスラーム金融 / イスラーム法学 / 中東地域研究 / 環インド洋経済 |
研究概要 |
本年度は、70年代後半~80年代前半と90年代後半~2000年代のイスラーム金融手法開発の経緯とそこで交わされた諸議論の動向についての検討を行い、イスラーム金融の理論や実践の多様性について考察を行った。とりわけ、70年代後半~80年代前半についての同様の調査・分析を行い、昨年度の成果と合わせて比較検討を行った。特に、本年度上半期は、サウジアラビア・ジェッダにあるイスラーム開発銀行附属イスラーム研究教育インスティチュートに客員研究員として3か月滞在し、中東地域におけるムラーバハ、イスラーム型証券の開発・普及に関する資料収集(アラビア語研究文献、法学者による議論の記録、研究セミナー資料、各金融機関の当時の資料・パンフレット)および聞き取り調査を行った。調査の結果、70年代後半~80年代前半については、イスラーム金融の実践が先行していた中東地域の域内において、ムラーバハやイスラーム型証券の望ましいあり方について多様な意見が見られ、それを反映して、国ごと、金融機関ごとに異なる実践形態が見られることが明らかになった。具体的には、イランやスーダンのイスラーム金融機関においては、ムラーバハやイスラーム型証券の導入に消極的であったのに対して、中東湾岸諸国(クウェート、バハレーン、カタル、アラブ首長国連邦)やヨルダンのイスラーム金融機関においては、これらの金融手法の導入にきわめて積極的であったという対照的な実態が明らかとなった。 以上の分析結果からは、イスラーム金融の理論や実践の多様性とは、通説で論じられているような大地域(「中東」「東南アジア」など)的な多様性だけで把握できるのではなく、国ごとの事情や金融機関ごとの事情といった複雑な要因が絡み合って、より複雑でざっくばらんな多様性として展開されていることが解明された。
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