研究概要 |
QUIET (Q/U Imaging ExperimenT)実験で、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)偏光を高精度で測定した。QUIET実験では、CMB偏光B-modeを観測することで、宇宙の極初期に起こったとされる急速膨張(インフレーション)の検証が可能である。QUIET実験は、チリ共和国の北部にあるアタカマ砂漠、標高5,080mで観測を行っており、この世界で最もCMB観測に適した場所で、2008年10月から2010年12月迄、Q-band及びW-band(周波数43GHz帯及び95GHz帯)併せ、延べ10,000時間のデータを取得した。本研究では、Q-band 3,500時間のデータ解析を行い、角度スケール25≦l≦475(l=180度/偏光の角度スケール)にわたりE-mode, B-mode及びEBパワースペクトルを得た。E-modeはファーストピーク周辺で6σの検出レベルであり、これは低周波数帯(<100GHz)で初である。B-modeは有意なシグナルを検出しておらず、これより原始重力波の強度(インフレーション時のエネルギースケールに対応)を表すテンソル・スカラー比の上限、r<2.2(95%C.L.)を得た。これらの結果は先行研究と無矛盾であり、また低周波数帯で最もよい測定である。更に、Q-bandでの銀河系からの前景放射を、数度スケールで世界で初めて検出した。これより、前景放射の影響が最も少ないと考えられるW-bandに於いて、r=0.02レベルまで前景放射の影響を考える必要が無いことを明らかにした。我々の解析、特に較正、時系列、データセレクションは、「Null test」と呼ばれる手法により最適化・検証が、最終的なパワースペクトルの導出前に行われている。同時に系統誤差の推定も行っており、その大きさは統計誤差に比べて十分小さく、r=0.1レベルまで無視できることを確認した。
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