研究課題
特別研究員奨励費
当該研究課題遂行中に見いだした、これまでゼブラフィッシュにおいて認められていなかった外側手綱核相同領域(腹側手綱核)-縫線核経路について研究を進めた。これまでに背側手綱核は脚間核へと選択的に投射し、腹側手綱核は縫線核へ選択的に投射すること、遺伝子発現が一致することから、哺乳類外側手綱核とゼブラフィッシュ腹側手綱核の相同性を明らかにしてきた(Amo et al.,2010,J.Neurosci)。哺乳類において外側手綱核は嫌悪刺激が与えられた時や、その予想がされたときに強く活動することがわかっているが、この領域がどのような行動を制御するか不明なままである。これまでに古典的な破壊実験が試みられてきたが、破壊部位の特異性が低く、明確な機能は明らかとなっていない。その要因として、破壊実験の小さいこと、内側、外側手綱核という2つの異なる回路が密接して存在すること、終脳からの通過繊維が存在することが挙げられる。この問題を克服し、外側手綱核神経回路の機能を調べるためには遺伝的機能阻害を行う必要がある。ゼブラフィッシュは遺伝学的操作性に優れ、腹側手綱核特異的遺伝子のBACクローンを用いて、腹側手綱核特異的にGAL4遺伝子発現を行うトランスジェニック系統の作製に成功した。さらに作製したUAS:GFP-TeNT(tetanus toxin;破傷風毒素)系統と掛け合わせることで、腹側手綱核特異的に破傷風毒素を発現させ、その神経伝達を阻害するシステムを作製した。このシステムを用いることで、これまでの問題点を克服し、正確かつ再現性の高い機能検討実験が可能となった。
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実験医学
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