本研究では、医用イメージング用19F-MRI造影剤としてフッ素含有ナノ微粒子の開発を行った。末端に16個のアミノ基を有するポリアミドアミンデンドリマー(PAMAM-NH2)からプロモ基をもつデンドリマー重合開始剤を合成した。このデンドリマー表面からリビングラジカル重合法によりフッ素モノマーを制御重合させることにより、高密度含フッ素高分子ナノ微粒子の作製に成功した。これまでの研究で作製した微粒子の分子量は精密に制御され、その粒径は分子量に依存して3-25nmに制御できることがわかった。また生成した含フッ素高分子ナノ微粒子は鋭い^<19>F-NMRシグナルを示すことがわかり、^<19>F-MRI造影剤として有効に機能することがわかった。 次の課題として、フッ素含有ナノ微粒子を水溶化するための分子設計を行った。生体系においてナノ微粒子をイメージングプローブとして用いるためには、水溶性であることが必須である。リビングラジカル重合法の利点を活かし、高分子鎖の末端から双性イオンモノマーをブロック共重合することで、生成高分子の分子量に依存した15-80nmの粒径をもつ水溶性含フッ素ナノ微粒子の作製に成功した。また、ナノ微粒子の水溶液をin vitroで19F-MRIにより撮像したところ、粒子濃度で1マイクロモルという非常に低濃度でも信号を検出でき、19F-MRIの造影剤としての有用性を示すことができた。
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