研究課題/領域番号 |
09J04717
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
臨床心理学
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
伊藤 正哉 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・成人精神保健研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2011年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2009年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 心理療法 / 感情 / 自己静穏 / プロセス研究 / 悲嘆 / 感情調整 / 自己なだめ / 共感 |
研究概要 |
本研究は、心理療法中の感情調整である「共感的自己なだめ(現在は自己静穏と用語を変更)」のプロセスの明確化を目的としていた。この研究課題は、当初想定していた心理療法プロセス研究のみならず、複雑性悲嘆における感情調整の研究や、より幅広い観点から感情調整を測定する尺度の開発という発展に至った。そのため、本年度は三つの目的を設定していた。第一に、自己静穏の介入マニュアルを作成し、これを用いて自己静穏介入の有効性を検討することを目的とした。本年度はマニュアルの作成を終え、幾つかの事例に対してその介入手順に沿って検討した。現在、結果については分析中である。さらに、感情調整に注目する認知行動療法の統一プロトコルを取り上げ、この介入法の日本への導入を検討してきた。第二に、複雑性悲嘆の感情調整プロセスを検討することを目的とした。本年度は、その一環として、複雑性悲嘆のスクリーニング尺度の妥当性に関する研究を、国際的なオンラインジャーナルに発表した。また、複雑性悲嘆の臨床研究を実施してきた。第三に、前年度までの研究で明らかになった知見をもとにして、その知見を検証する質問紙調査を実施した。具体的には、感情調整過程の"忍耐性Tolerance"の重要性が前年度までの研究で示唆されたことから、この側面を測定するAffective Style Questionnaireを翻訳して、その尺度の妥当性を検討した。この尺度を用いて、忍耐性を含めた感情調整が精神健康に影響を検討するために、大学生1000名以上を対象に質問紙調査を実施した。この研究は、ボストン大学のStefan G. Hofmnann教授とともに共同研究を進めてきた。以上の検討から、感情調整過程の一部が明らかにされたとともに、この過程に着目した心理療法の適用に向けての示唆が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初設定していた目的についての研究を着実に進行させてきた。分析や成果の発表が本年度中に達成できなかった点では必ずしも十分な達成度とは言えないものの、当初計画していた以上に幅広く多角的な観点から研究課題について検討できたため、おおむね順調に進展したと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、感情調整に着目した心理療法的介入の有効性を、臨床研究により検討することが望まれる。
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