研究課題/領域番号 |
09J04918
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
南本 徹 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2011年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2010年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2009年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 言語学 / 比較言語学 / 古代ギリシア語 / 印欧語 / ギリシア語 |
研究概要 |
平成23年度の前半は、先年度に引き続き、研究指導委託先である米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の印欧語研究プログラムで、古代ギリシア語テッサリア方言における特異な動詞活用についての資料収集と分析を進めた。その結果、この方言については既知の碑文を網羅することができた。 年度の後半には、日本に帰国したのち、受入研究機関である京都大学で資料の分析をおこなった。報告者が研究課題とするギリシア語の動詞の特異な活用形については、H. Hockによる先行研究がある。彼はこの活用形について、究極的な起源は印欧祖語に遡るものの、ギリシア語が諸方言に分岐した後に、いくつかの方言ではこの活用形が完全に失われ、一方ほかの方言ではこの活用形が他の動詞にも広まったものと考えた。そして、テッサリア方言については、特異な形式と通常の形式がともに見られることから、特異な活用形が拡大していく途上の状態をとどめているものと考えた。しかし、テッサリア方言で特異な活用を示さない語形はわずかに3例のみであり、しかもそのうち2例は他の方言からの影響を受けた可能性のある碑文であるので、テッサリア方言の歴史的変化の証拠としては確実とは言えない。 この問題について、報告者は、テッサリア方言とレスボス方言を対照することで解決を図った。テッサリア方言とレスボス方言は、ともにこの特異な活用形を示す方言であるが、「行う・完遂する」を意味する動詞teleie/o-は、レスボス方言では例外的にこの特異な活用形を示さないことがすでに知られていた。これに対し、報告者は、2007年に公刊されたテッサリア方言の碑文の中で、この「行う・完遂する」を意味する動詞の語形(tele-)が問題の特異な活用を示していることを確認した。この差異は、問題の特異な活用がテッサリア方言においてこの動詞に拡大したことを例証するものである。
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