研究課題/領域番号 |
09J05082
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
細胞生物学
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
川勝 康弘 東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2009 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
|
キーワード | ショウジョウバエ / 上皮密着結合 / 左右非対称性形成 / yolk cell / Septate Junction / 筋肉細胞 / 形態形成 |
研究概要 |
実験開始から近年になり、我々はUAS-GAL4システムにおけるドライバーの組織特異性について再考を迫られることになった。というのも、我々がこれまで左右非対称性の力学的因子の探索のために用いてきた内臓筋のドライバーの幾つかがショウジョウバエ胚のyolk-cellにも発現することが解ったからだ。その中には、我々の研究室がこれまで左右非対称性形成に関する研究に多用したドライバーである24Bも含まれていた。内臓筋組織で強制発現させた蛍光タンパク質はyolk-cellで発現するだけでなく、発生が進むと内臓上皮組織に移行することが明らかになった。これまで研究してきた上皮密着結合(Sertate Junction、以降SJ)が臓器の形態形成にどのように影響するのかについて、いくつかの進展があった。上皮細胞においてはSJは細胞側面下部に集中しているが、多核で細胞間接着が上皮のように整列せず、重なるように配置されている内臓筋細胞では多方面で細胞接着がみられる。そのためSJを構成する因子も内臓筋肉細胞では多方面にみられることがわかった。ショウジョウバエ胚内臓筋には縦走筋と環状筋という2種の異なる組織がクロスするように形成されるが、SJ構成因子はそのどちらにもみられた。SJ構成因子をコードする遺伝子のホモ突然変異体胚をリアルタイムで観察した結果、縦走筋の伸張に異常はみられなかったが、左右から延びる環状筋の伸張とそれらが接着することで形成される臓器のチューブ形成に不安定性がみとめられた。接着が不安定な場合は、内臓は左右からの接着面で破断され、形態形成に著しい影響を及ぼした。 一方、接着が安定的に行われたものの半数は、中腸前半部の構造が反転することがわかった。これはSJ構成因子の欠落した変異体は、接着面で破断せず構造的な破壊をまぬがれても、左右の正常な形成が正常に行われないことを示唆した。 またSJ構成因子をコードする遺伝子のホモ突然変異体では、Fas3,Nrx4,ATPαなどのような細胞間接着因子の細胞膜への集積が野生型と比べて弱いことが明らかになった。これまで我々の研究で、上皮組織を構成する細胞の接着因子であるcadherinなどの集積が左右非対称性形成に重要な役割を果たすことを示してきた。本研究によって、上皮細胞だけでなく内臓筋細胞にも同様の機構が存在することが推測される。これまで研究は順調であったが、冒頭に述べた研究に関する基本的な技術において疑問点が生じてしまった。このため論文発表のような公的な成果を出す前に、これらの問題を解決するほうを優先させねばならなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験開始から近年になり、我々はUAS-GAL4システムにおけるドライバーの組織特異性について再考を迫られることになった。というのも、我々がこれまで左右非対称性の力学的因子の探索のために用いてきた内臓筋のドライバーの幾つかがショウジョウバエ胚のyolk-cellにも発現することが解ったからだ。 内臓筋組織で強制発現させた蛍光タンパク質はyolk-cellで発現するだけでなく、発生が進むと内臓上皮組織に移行することが明らかになった。
|
今後の研究の推進方策 |
UAS-GAL4システムのドライバーとyolk-cellからの物質とりこみを詳細に観察し、既存の中で最適なドライバーを選定する。みつからなければ遺伝子を組み替えて作成する。また、yolk-cellが発生にどのように関与するかを左右非対称性形成を中心に調査する。
|