研究課題/領域番号 |
09J05094
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯田 健二 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 固液界面 / 溶媒和ダイナミクス / 円筒座標系 / Surrogate Hamiltonian / 2D-RISM / 線形応答 / SSSV方程式 / 積分方程式 / イオン化 / RISM-SCF / Surrogate / SSSV / ダイナミクス / 溶液内化学反応 / 濃度依存性 / 並進エントロピー / 二酸化炭素吸着 / エタノールアミン / RI SM-SCF / RISM / 電子状態計算 |
研究概要 |
前年までの研究に引き続き、界面近傍の溶媒和構造を記述する理論の開発に取り組んだ。この理論は、界面固有の特徴である異方性を捉えるために、界面に対して垂直および水平な二つの方向の溶媒和構造を記述する。この開発した新規理論(2D-RISM理論)をモデル系に適用したところ、水和構造及び印加電位による水の配向の変化を記述することに成功した。この成果は国際学会において発表され、また国際誌に出版され高く評価されている。 さらに、2D-RISM理論を拡張し、固液界面における溶媒和ダイナミクスを記述する理論を開発した。この理論は、分子性液体の拡散方程式であるSite-siteSmoluchowski-Vlasov(SSSV)方程式と線形応答理論に立脚したSurrogate Hamiltonianを用いる方法である。SSSV方程式は短時間(<100fs)領域の記述には適さないが、時間変化を解析的に扱っているために長時間領域の記述に有効である。また、Surrogate Hamiltonianを用いているために、無限時間経過後は終状態の解に帰着する。以上二点から、開発した理論は長時間領域の計算に極めて有効である。短時間領域の計算に適した分子シミュレーション法と相補的な特徴を有しており、界面近傍の分子理論を展開するに有用な手法であるといえる。この手法をモデル系に適用し、瞬間的に固体を帯電させた場合の水和構造の変化を計算した。その結果、第一水和圏の水の配向の変化並びに、その変化に追随する第二水和圏の構造変化を記述することに成功した。この成果を国際学会にて発表し、高い評価を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
掲げた計画の達成に向けて、電極反応系を構成する要素を記述するための理論的手法の開発、並びにその適用をこれまで行ってきた。水中でのイオン化ポテンシャルについての研究により、溶液内での電子状態に関する新規理解を得ることに成功し、この成果は国際誌にて現在印刷準備中である。そして2D-RISM理論の開発により、界面近傍の溶媒和構造を記述することに成功し、国際的に高い評価を得た。さらに、2D-RISM理論を拡張することで、界面近傍での溶媒和ダイナミクスの記述することに成功を収めた。以上の点から、おおむね順調に研究が進行したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
電極と濃度をあらわに考慮して電極反応の機構を解明することを目標として、これまで研究を行ってきた。その結果、溶液内での電子状態や濃度依存性・界面近傍での溶媒和に関する分子レベルの知見を得ることに成功した。これらの電極反応系を構成する要素に対する知見は、その機構の解明に貢献するものであると考えている。 しかしながら、これまで電極の電子状態については考慮してこなかった。電極と溶質間の相互作用は量子化学的なものであるため、電極の電子状態を記述することも、電極反応の理解のために必要である。従って今後、電極の電子状態に着目し研究を行うことを計画している。それから得られた知見と、これまでの研究から得られた知見を統合することで、電極反応を包括的に把握することができると考えている。
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