研究課題
特別研究員奨励費
ナノインプリントモールドは一般的に離型膜で覆われており、ナノインプリント離型メカニズムを解明するためには離型膜の評価が必要不可欠である。現在、離型特性評価法として主に用いられているのが接触角測定である。しかし、接触角測定ではマクロスケールの離型特性しか評価することが出来ない。そこでナノスケール離型特性評価法である走査型プローブ顕微鏡(SPM)による付着力、摩擦力評価を接触角測定と併せて行う事で、より詳細な離型特性評価をナノインプリント離型膜に対して行った。ナノインプリント離型膜として主に用いられているのがフッ素含有自己組織化膜(F-SAM)である。ただ、デバイスによってはフッ素を含んでいる離型膜は敬遠され、フッ素を含んでいない離型膜が要求される。そこで着目したのがブロックコポリマーリソグラフィーに用いられるフッ素を含まないポリジメチルシロキサン(PDMS)薄膜である。PDMS薄膜をマクロスケール離型特性評価法である接触角測定とナノスケール離型特性評価法であるSPMによる付着力、摩擦力測定を行い、F-SAMとの比較評価を行った。F-SAMはOPTOOL HD-1100TH(ダイキン工業(株))を用いて成膜した。まず各離型膜に対する水滴接触角を測定した。その結果、F-SAMは115°、PDMS薄膜は106°であった。F-SAMに比べるとPDMS薄膜の方が約10°低く、マクロスケール離型特性はF-SAMの方が優れていると言える。次にSPMによる付着力と摩擦力測定をF-SAM、PDMS薄膜に対して行った。測定の結果、PDMS薄膜の付着力はわずかにF-SAMの付着力より高いことが確認された。一方摩擦力測定では、F-SAMでは摩擦力が検出されたのに対し、PDMS薄膜ではほとんど検出できず摩擦力がほとんどない、という非常に興味深い結果が得られた。摩擦力はナノインプリント離型時に関係する重要な要素であり、ナノスケール離型特性はPDMS薄膜の方が優れていると言える。上記実験結果から、マクロスケール離型特性評価だけでは十分な離型特性評価を行ったとは言えず、ナノスケール離型特性評価も合わせて評価することが非常に重要であることを実証した。
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