研究課題/領域番号 |
09J05688
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
応用生物化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 和樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2010年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | Y染色体 / Uty / 性差 / 軟骨細胞 / 遺伝子欠損マウス / JmjCドメイン |
研究概要 |
昨年度、Y染色体遺伝子Utyのfloxマウスの作出に成功した。本年度は、Uty floxマウスとCMV-Creマウスとの交配により、全身性Uty遺伝子欠損マウス(Uty^<X/L->)の作出を行った。作出した全身性Uty遺伝子欠損マウス(Uty^<X/L->)は、野生型雄マウスに比較して体長の短縮を認め、成長遅延を示した。Uty^<X/L->の骨長は、野生型雄マウスよりも約10%の短縮を示し、雌とほぼ同程度の長さを示した。さらに、Uty^<X/L->では成長板軟骨層の長さの短縮を認めた。軟骨初代培養分化系を用いた結果、軟骨細胞分化の亢進が示唆された。以上より、Utyが軟骨細胞分化制御を介して雄型の骨長を制御する可能性が示唆された。また、レポーターアッセイにより、UtyはRunx2の転写能を抑制することを見出した。また、軟骨初代培養細胞を用いてRunx2の標的遺伝子であるCol10a1のpromoter領域におけるChlPアッセイを行った結果、Col10a1プロモーターにRunx2およびUtyがリクルートされることを見出した。さらに、Col10a1プロモーターでのヒストン修飾の変化をChlPアッセイにて検討した結果、Uty^<X/L->では転写活性化のマークであるヒストン修飾が亢進していることが明らかとなった。このため、Uty^<X/L->ではCol10a1の発現が上昇すると考えられた。以上の結果より、Utyは、ヒストン修飾変動を介して、Runx2の転写能を減弱させ、その標的遺伝子であるCol10a1の発現を抑制するという分子機構が明らかとなった。本研究では、Cre/loxPシステムと挿入型ターゲティングベクターを組み合わせた手法により、世界で初めてY染色体遺伝子欠損マウスの作出に成功し、機能未知Y染色体遺伝子Utyの生体内高次機能の一端を初めて明らかにした。
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