研究課題/領域番号 |
09J05689
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
土光 智子 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2010年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ツキノワグマ / Ursus thibetanus / ニアリアルタイム衛星追跡 / エコロジカルネットワーク / 富士 / 丹沢 / WebGIS / モデリング |
研究概要 |
本研究は2ヵ年で首都圏近郊に位置しながら大型野生ほ乳類が生息する富士丹沢地域において、ツキノワグマ(Ursus thibetanus)を対象種にエコロジカルネットワークの策定を提案することを目標とした。具体的には、1.丹沢地域のツキノワグマのニアリアルタイム衛星追跡実験、2.移動経路・障害物などの解析およびエコロジカルネットワークの策定と評価、3.WebGIS技術を応用した地域政策立案システムの構築という3つの段階に準じて研究を進めた。第1段階においては、昨年度と同様に、2010年10月に丹沢清川村にてツキノワグマの雌個体1頭へ衛星追跡装置であるGPS付ARGOSを装着し、本研究課題では計2頭のクマの追跡ができた。また、自動撮影カメラによって、最低でも4頭のツキノワグマを判別できた。第2段階では、今年度は、昨年度に得られた追跡データを解析し、ツキノワグマによる沢の頻繁な使用と車両規制がある道路の横断が観察された。生態的回廊の最適な位置を空間的に把握するため、最小コスト経路分析という空間分析手法を用いて高解像度な縮尺(100mメッシュ)でモデリングし、1582km^2のコアエリア、182km^2の生態的回廊、618km^2の緩衝帯から成るエコロジカルネットワークを提案した。一方、既往研究の追跡(14頭)の結果を踏まえて、ツキノワグマの生息確率予測モデル開発により、地域個体群ごとの生息頭数を推定し、ギャップ分析に基づき、当地区におけるクマの生息パッチと潜在的生態的回廊を特定した。この内容は、査読付原著論文として国際誌に発表した。当地区のクマの総個体数から、富士丹沢地域個体群は絶滅が危惧されることが明らかになり、エコロジカルネットワークによりこの2つの地域個体群が内的に繋がったとしても、適切な個体数規模が維持されることは極めて難しいと結論づけられた。
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