研究課題/領域番号 |
09J05735
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武井 華奈 (堀口 華奈) 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | TGF-β / EMT / 選択的スプライシング / ESRP / ZEB1 / SIP1 |
研究概要 |
マウス乳腺上皮細胞を用いた解析から、TGF-βはZEB1とSIP1を介してESRPの発現を抑制し、種々の遺伝子の選択的スプライシングを上皮型から間葉系型へ変化させることが明らかとなった。ヒト乳癌細胞パネルにおいてZEB1とSIP1、ESRPの発現は負に相関し、ESRPの発現が高い乳癌細胞株はLuminal型に、ESRPの発現が低い乳癌細胞株はBasal型に分類された。このことからESRPの発現は乳癌細胞の悪性度と相関し、ESRPの発現低下に伴う遺伝子の選択的スプライシングの変化が癌の悪性化に重要な役割を果たしていることが示唆された。また、乳癌患者の組織検体の遺伝子発現データセットを用いた解析から、肺転移の認められた症例では肺転移の認められなかった症例よりもESRPの発現が低い傾向が認められた。さらに、ESRPの発現量が低い患者群では発現量が高い患者群と比較して無(肺)転移生存率が低く、ESRPの発現低下が乳癌患者の予後不良因子として有用なマーカーとなりうることが示唆された。そこで、ESRPの発現が癌の悪性化に及ぼす影響を調べるためにESRPの過剰発現を行ったところ、ESRPを過剰発現させた乳癌細胞は線維芽細胞様の形態から敷石状の形態へと変化し、E-cadherinのタンパク量が上昇した。これまでZEB1とSIP1はE-cadherinのプロモーター上に直接結合することでE-cadherinの転写を抑制することが知られていたが、今回の結果から、ESRPの発現抑制を介してもE-cadherinの発現を調節していることが明らかとなった。現在、RNA-sequenceによりESRPの下流で選択的スプライシングが変化する遺伝子の同定を進めている。EMTに伴いスプライシングが変化する遺伝子の同定やその制御機構の解明は、EMTを標的とした新規治療戦略の開発へとつながる可能性がある。
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