研究概要 |
平成21年度は,以下の2項目について検討した. 1.公開鍵暗号モジュールの安全性評価を目的としてサイドチャネル解析技術を検討した.これまでに,独立行政法人産業技術総合研究所と共同でサイドチャネル攻撃の標準評価ボードSASEBO (Side-channel Attack Standard Evaluation BOard)の策定を行ってきた.本年度は,従来のFPGAによる評価環境に加え,ASICによる公開鍵暗号モジュールの試作を行い,その安全性評価を行った.開発した評価ボードを用いてASICとFPGA実装の両面からサイドチャネル攻撃やその防御法を総合的に検証した.加えて,公開鍵暗号モジュールの解析技術自体についても検討した.波形フィルタリング等の信号処理技術を応用した解析技術を検討するとともに,モジュールへの入力情報に着目した新たな解析手法を提案した.提案手法では,従来手法が困難であったアルゴリズムや対策法に対しても同様の攻撃が可能となる.実験を通して提案の有効性を示すとともに,サイドチャネル攻撃に耐性を有する公開鍵暗号ハードウェアの新たな設計指針を検討した. 2.上記研究と並列して,高性能かつ高安全な公開鍵暗号ハードウェアを自動生成するジェネレータの開発を行った.開発した公開鍵暗号モジュールジェネレータには数万種類を超えるRSA暗号プロセッサが系統的にライブラリ化されており,ユーザは用途に応じた適切なデザインを容易に設計することができる.また,ジェネレータが生成可能な全プロセッサに対する網羅的な性能評価実験を行い,ジェネレータの有効性を評価した.
|