研究課題/領域番号 |
09J06488
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
触媒・資源化学プロセス
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菊川 雄司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | ポリオキソメタレート / アルミニウム / イットリウム / 銀 / シアノシリル化 / シランの水酸化 / 層間カチオン交換 / 亜鉛 / アルコール酸化 / 過酸化水素 / ジルコニウム / ハフニウム / シトロネラール |
研究概要 |
本研究では、アニオン性金属酸化物クラスターであるポリオキソメタレート(POM)を無機配位子として種々の金属多核構造を有するPOMを創製し、カチオン交換能、触媒特性について検討した。 アルミニウム二置換POMのテトラブチルアンモニウム(TBA)塩を三量化させることでABCスタッキングの層状化合物を得た。リチウムカチオン存在下三量化させるとAAスタッキングの層状化合物を得た。これらの化合物はスタッキングのずれを伴いながら、可逆にリチウムとTBAのカチオン交換が可能であることが明らかとなった。 有機溶媒中で二欠損型POMとイットリウムアセチノアセトナートなどの希土類金属を反応させることで二つの希土類金属を二つの欠損型POMで挟んだPOMが得られた。このPOMはカルボニルのシアノシリル化反応に対して高い触媒活性を示すことが明らかとなった。中でも、n-ヘキサナールを基質とした場合、ターンオーバー頻度(TOF)は540,000h^<-1>におよび、既報と比べて最高であった。 有機溶媒中で二欠損型POMと酢酸銀を反応させることで、四核銀クラスター構造を二つの欠損型POMで挟んだPOMが得られた。これは三核以上の金属クラスター構造をPOMアニオン中に取り込んだ初めての報告であった。このPOMを触媒としてシランと水を反応させることでシラノールと水素が得られることが明らかとなった。ジメチルフェニルシランを基質としたときのTOFは27,000h^<-1>であり、既報と比べて最高であった。 このように本研究で提示した有機溶媒中でのPOMの合成法は種々の金属に対して適応可能であり、得られたPOMは導入した金属の特徴を活かした高機能触媒として働くことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
該当年度において、これまで新規合成が困難とされていた、金属多核構造を有するいくつかの新規ポリオキソメタレートの合成に成功した。また、それらのポリオキソメタレートを用いた高効率有機合成反応系の開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発した新規ポリオキソメタレートの合成法は様々な金属に応用できる。新たに合成したポリオキソメタレートを用いることで金属の特性を活かした高効率触媒反応系の開発が期待できる。また、銀クラスター構造を欠損型ポリオキソメタレートで安定化させることが出来たことから、構成原子数、幾何構造を制御した金属クラスターの合成が期待される。近年、金属クラスターは、単核やバルクとは異なる光学、触媒特性を示すため、注目を集めている。これらの構造と物性の関係を明らかにすることでさらなる機能性材料の創製が期待できる。
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