研究概要 |
極超新星爆発、及びガンマ線バーストにおける磁場と回転が及ぼす影響を調べる為に、数値計算コードの開発、またそれを使った大質量星の重力崩壊の数値計算を行った。数値コード開発においては、本質的に重要な役割を果たす強重力場を正しく記述する為に一般相対論の効果に着目した数値コードの開発、及び計算を行ってきた。その結果、我々の研究目的に特化した開発を行う事ができた。具体的には回転に伴う流体不安定性の役割を調べる為に3次元の一般相対論磁気流体コードを開発した。その際高解像度と計算時間短縮を図る為にAdaptive Mesh Refinement(AMR)を取り入れた事が我々のコードの特徴である。3次元でのAMR一般相対論磁気流体コードは世界でも我々を含め,2グループ程である。作成したコードを用いた実際の大質量星の重力崩壊計算においては、重力崩壊に伴い放出される重力波波形に関しての研究等を一般相対論計算により行った。この研究では、特に磁場の影響を調べる為に強磁場と、弱磁場モデルの比較を行った。その結果、重力崩壊直後の初期段階においての磁場の重力波への顕著な影響は確認できなかった。これは、3次元計算により大規模な非軸対称性が発達し、磁気駆動型アウトフロー形成が妨げられた結果、重力波波形における磁場の影響が小さくなったと考えられる。しかし、その非軸対称性の特異な信号は放出された重力波波形中に見られた。非軸対称性を作る回転不安定性の中でも特にSpiral Standing Accretion Shock Instabilityが発達した事で、重力波のピーク振動数が時間と供に低振動数帯へと移行する事がわかった。このような現象は過去には報告されていないので、今後の重力波観測の際の有用な指標となると考えている。
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