研究課題/領域番号 |
09J07066
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生体関連化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮房 孝光 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2010年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | X線結晶構造解析 / 黄色ブドウ球菌 / 酵素 / 莢膜 / 阻害剤 |
研究概要 |
本研究では、黄色ブドウ球菌の病原因子の一つである莢膜の合成に必須な酵素、CapE、CapFを標的として、その特性評価から阻害剤の設計を目指している。 研究計画においては、2011年度ではCapEの構造情報を基盤として、その反応メカニズムの特徴を記述するのと平行して、低分子阻害剤の探索を進めることを予定していた。総合すると、低分子阻害剤の探索手法の確立に時間を要したが、その点を除いて順調に研究を遂行することができた。 まず、CapEの反応メカニズムを詳細に記述する目的で、CapEの酵素単独の結晶構造、基質類縁体との複合体の結晶構造の2つを新規に解析し、基質との複合体の結晶構造と比較した。その結果、六量体の構造維持に重要とみなされるC末端側の領域が酵素単独の構造中では大きく揺らいでおり、基質の結合と六量体の構造変化が競奏的に進んでいるというモデルを構築するに至った。また、その構造変化と関連して、N末端側に位置する疎水ポケットが構造変化しており、その構造変化によりはじき出された78番目のフェニルアラニンが隣接する16番目のフェニルアラニン、122番目のロイシンの構造変化を誘起して、補酵素の配向を制御していることを示した。一般的に酵素の活性中心では固定された補酵素に基質が接近することで反応が進むと考えられており、補酵素の構造変化によって活性が制御される例は少なく、またその構造変化が六量体の高次構造と関連しているというモデルは本研究によって初めて示されたものである。一方、低分子阻害剤の設計に向けては、探索手法の検討と平行して、先行研究から阻害能の示唆された化合物を用いて活性測定を行った。その結果、CapEに関して有意な阻害能が見られたものの、CapF存在条件下では反応が進行してしまうということが明らかとなった。即ち、葵膜合成を阻害する上でCapFが重要な標的分子であるということを示すことができた。
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