研究課題/領域番号 |
09J07208
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物物理・化学物理
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久我 健太郎 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員DC2
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 量子臨界点 / 重い電子系 / 超伝導 / 価数揺動 / 元素置換 / 硬X線光電子分光 |
研究概要 |
イッテルビウム系の重い電子系では初の超伝導体であるβ-YbAlB_4に見られる新しい量子臨界現象を理解するために、それと同組成で結晶構造の異なるα-YbAlB_4に鉄元素をアルミニウムサイトに置換し、その置換量を調節することにより磁気秩序を誘起することを試みた。その結果、磁気秩序の発見だけでなく、実際にSPring-8での測定に参加し、20Kにおけるイッテルビウムイオンの価数が、特に1%程度の鉄をドープした場合に大きく増加することを発見するという興味深い成果を上げることができた。室温における粉末X線回折から、価数の急峻な増加が起こる組成域において、格子定数も大きく減少することが分かり、その減少は価数の急峻な増加との関連が予想される。低温から室温にわたる温度範囲で価数が急激に増加することから、その価数の急劇な増加は非常に高いエネルギースケールを持っていることが分かる。また、このα-YbAlB_4の鉄ドープの詳細な極低温物性測定から、価数の急峻な変化が起こる組成域において、超伝導体であるβ-YbAlB_4でみられる振る舞いと酷似する量子臨界現象を発見した。これらの発見は、これらの系における量子臨界現象に反強磁性揺らぎのみならず、価数揺らぎが深くかかわっていることを示し、従来のスピン揺らぎによるものと異なり、質的に新しい量子臨界現象であることを示された。この成果から、量子臨界点の価数に関わる研究の発展が大いに期待される。
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