研究課題/領域番号 |
09J07233
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
分子生物学
|
研究機関 | 九州大学 (2010-2011) 日本女子大学 (2009) |
研究代表者 |
杉本 のぞみ 九州大学, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2009 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | GRWD1 / Cdt1 / CDC6 / MCM / DNA複製 / ヒストンシャペロン / 細胞周期 / アフリカツメガエル卵抽出液 |
研究概要 |
GRWD1(glutamate-rich WD40 repeat containing 1)は、複製開始の細胞周期制御において中心的な役割を担っているCdt1の新規結合タンパク質として同定された因子である。この因子の機能解明を目的とし、研究を行ってきた。前年度までに、GRWD1は複製オリジンに結合すること、そしてこの結合はライセンシング因子CDC6やCdt1の発現抑制によって阻害されることを見出した。さらに、GRWD1がヒストンシャペロン活性を持つことも明らかにした。 今年度は、GRWD1の発現抑制による影響を調べた。その結果、CDC6やCdt1への複製オリジンへの結合は変わらなかったのに対し、DNA複製ヘリカーゼのMCM複合体のオリジン結合が阻害され、S期の進行が遅延した。一方、次世代シークエンサーを用いたFAIRE-seq(Formaldehyde-Assisted Isolation of Regulatory Elements-Sequence)解析により、GRWD1がクロマチン構造の弛緩に関与することが示唆されつつある。 この点については、抗GRWD1抗体を用いたChIP-seqによってさらに詳しく調べる予定である。また、GRWD1結合因子を同定するため、抗GRWD1抗体を用いた免疫沈降を行い、共沈降物をマススペクトロメトリーによって解析した。その結果、細胞周期に関連する種々の因子のほかに、リボソーム生合成に関与する因子や、転写関連因子、クロマチン修飾酵素、ユビキチンリガーゼなどが同定された。つまり、GRWD1は複製開始のみならず、多様な時期・部位で機能している可能性がある。それらの因子との結合の意義については今後明らかにしていきたい。 結論として、GRWD1は自身のヒストンシャペロン活性を用いてクロマチン構造全体に作用する可能性がある。DNA複製に関して言えば、MCMローディングにおいて、CDC6やCdt1との結合を介して複製オリジンに呼び込まれ、自身のヒストンシャペロン活性によってクロマチン構造を弛緩させ、MCMの効率的なローディングに寄与していると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GRWD1のDNA複製への関与をより詳細に探るため、アフリカツメガエル卵抽出液を用いた解析を当初は予定していた。しかし、GRWD1はDNA複製のみならず、多様な面で機能していることを示唆させる結果が得られてきたため、この系での解析は中断し、次世代シークエンサーを用いて、GRWD1のクロマチン構造全体への寄与についての解析を進行させている。このため、当初の計画とは若干方向性が変わったものの、投稿準備も進んでいることから、本研究は、おおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
GRWD1結合因子の網羅的探索により、種々の因子が同定された。今後は、それらの因子との結合の意義を明らかにしていきたい。 一方これまでの研究から、MCMローディングに関わる因子の詳細が解明されつつある。そこで、塩透析などによって再構築したヌクレオソームおよび各因子のリコンビナント体を準備し、in vitroにおいてMCMのローディング反応が起こるのかを調べたい。
|