研究課題/領域番号 |
09J07847
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
印度哲学・仏教学
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
山畑 倫志 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2011年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2009年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | インド語学 / インド文学 / インド哲学 / 韻律 / コーパス研究 / 国際情報交換 / インド / 多国籍 |
研究概要 |
報告者の研究対象は中期インド語の一つであるアパブランシャ語の言語特徴の解明とインド文学における位置づけである。今年度の研究成果として次の三点をあげる。 1.『スッタニパータ』の格と韻律の関係について インド古典において韻文を作成する際に用いられる韻律は時代によって変わっていた。そのため韻律からある文献の相対的な年代を推定することが可能となる.ここでは『スッタニパータ」のテキストの年代と韻律との関係を問題とした。パーリ語文献が年代によって区分することができること、とりわけ『スッタニパータ』の四章と五章にあたるA□□hakavaggaとParayanavaggaが最も古いとみなしうることは多く指摘されている。本研究ではそれらを最古層とする議論に則り、韻律,音韻の『スッタニパータ』の他の部分と違いが見いだせるかについて検討した。その結果語注母音挿入とトリシュトゥブ律の転部はそれぞれ時代に応じて出現頻度が変わることが明らかになった。日本印度学仏教学会第64回学術大会(2011年9月7日)および『印度学仏教学研究』第60巻第2号において発表。 2.コーパスを利用したアパブランシャ語の分類の検討 アパブランシャ語コーパスを用いて主にTagare(1948)によるアパブランシャ語の分類の妥当性を検討した。アパブランシャ語の文章語としての統一性に着目し、Tagareが言語的差異としている諸特徴をスタイルの差、とくに古形の使用の多寡の点で区分可能ではないかと考え、調査した。Tagareは西、東、南の三つの分類を挙げているが、それにインドのカシミール地方由来の文献をカシミール・アパブランシャ語として加えて検討した。その結果、個々の形式では古形の多寡によって分類の差異が説明できるが、検討した特徴すべてに共通する傾向は見いだしがたかった。そのためさらに異なる要素の検討が必要であるという結論に至った。2009年発表の題材に資料と考察を加えCorpus Analysis and Diachronic Linguistics(John Benjamins, 2012)において発表。 3.アパブランシャ語写本の現状調査 2011年9月13日より10月3日にかけてインドでの写本調査に赴き、デリーのIndira Gandhi National Center for Arts(IGNCA)とジョードプルおよびウダイプルのRajasthan Oriental Research Instituteのアパブランシャ語写本およびラージャスターン語文献の状況を調査した。IGNCAにおいてはインド文化省主導のプロジェクトであるNational Mission for Manuscriptにおけるカタログ化作業の進展を調査した。またジョードプルおよびウダイプルでは写本のデシタル化の状況を確認し、プラークリット諸語アパブランシャ語、ラージャスターン語に関する写本のデジタル画像を入手した。また西インドにおけるジャイナ教寺院と文書館との歴史的関係についても調査した。 それらラージャスターン州における写本保存に関する調査をもとに日仏東洋学会研究会(2012年3月26日)で発表。
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