研究課題/領域番号 |
09J07923
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
望月 研太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 始原生殖細胞 / DNA脱メチル化 / ヒストン修飾 / 特異的遺伝子群 / 体細胞性遺伝子群 / エピジェネティクス / 発現制御 / 分化運命決定 / 始原生殖細胞特異的遺伝子群 / 生殖系列特異的遺伝子群 |
研究概要 |
mil-1、Blimp1、およびStellaは制御領域に保存配列を持ち、そのPGCsに特異的な発現は分化運命決定期に活性化される。本研究では、はじめに、mil-1、Blimp1、およびStellaの制御領域で段階的にDNA脱メチル化が進行し、それに伴って、3遺伝子の発現が開始・活性化されていくことを見出した。次に、胚性幹細胞において、siRNAを用いた維持型DNAメチル基転移酵素Dnmt1の阻害を試みたところ、3遺伝子全ての近傍領域はDNA脱メチル化しており、それらの遺伝子発現は上昇していた。さらに、Dumt1ノックアウトマウス胚のエピブラストにおいて、近傍領域はDNA脱メチル化状態にあり、3遺伝子の早熟な発現が観察された。以上により、共通した近傍領域のDNA脱メチル化がPGC発生過程における特異的遺伝子群の発現活性化を担うことが明らかとなった。 一方で、代表的な体細胞性遺伝子であるHoxa1およびHoxb1、ならびに神経特異的遺伝子GfapはPGCsにおける発現が認められないものの、その発現抑制はDNAメチル化に依らないことがわかった。すなわち、PGCsにおいて、各遺伝子の近傍領域はヒストンH3リジン4トリメチル化(H3K4me3)およびH3K27me3のバイバレントなヒストン修飾を受けており、これによって遺伝子発現が抑制されていることが想定された。 過去の報告から、PGCsはその発生過程において、ゲノムワイドにDNAメチル化を低下させると同時にH3K27me3の修飾レベルを上昇させることが知られていた。本研究の成果により、PGCsは、DNA低メチル化という脱抑制的なゲノム状態においても、バイバレントなヒストン修飾により体細胞性遺伝子群を将来的な活性化まで発現しないように留めている一方で、DNA脱メチル化によりPGC特異的遺伝子群を発現活性化させ、発生の適正な進行を保証するエピジェネティックな選択的遺伝子制御システムを用いていることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
始原生殖細胞発生過程における選択的な遺伝子発現を制御するエピジェネティックな機構を、特異的遺伝子および体細胞性遺伝子の代表例を挙げて記述することに世界で初めて成功した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究結果のゲノムワイドでの検証が今後の課題である。そのために、次世代シークエンサーを用いたDNAメチル化、ヒストン修飾、遺伝子発現解析を遂行する。 また、エピジェネティックな機構が始原生殖細胞発生そのものへ与える影響を評価するため、in vitro系を用いた候補分子のRNAiスクリーニング、ならびにノックアウトマウスでの解析を検討中である。
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