研究課題/領域番号 |
09J08400
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
放射線・化学物質影響科学
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
橋本 翔子 関西学院大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2010年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 環境化学物質 / ビスフェノールA / protein disulfide isomerase / 甲状腺ホルモン |
研究概要 |
PDIの生理機能解析 今年度は、PDIの生理機能解析に大きな進展を得ることができた。 T3依存的に甲状腺ホルモン受容体(TR)を介して成長ホルモン(GH)が誘導される脳下垂体腫瘍由来細胞(GH3)において、PDIを過剰発現させると、T_3応答(GHの転写誘導)が抑制されることが明らかにされている。そこで、そのメカニズムを調べた。昨年度までに、野生型PDIの過剰発現細胞ではGHの産生が減少するが、イソメラーゼ活性中心変異体過剰発現では減少しないことを明らかにし、PDIのイソメラーゼ活性がT_3のTRを介した転写制御に関わることが考えられた。イソメラーゼ活性はタンパク質のシステインの酸化還元状態の変換に関わる。一方、いくつかの転写因子において、そのシステイン残基の酸化還元状態による転写活性の変化が知られている。そこで、TRも酸化還元状態の変化によって、転写活性が変化しているのではないかと考えた。また、転写因子の酸化還元状態を制御する因子としては、Redox factor1(Ref-1)というタンパク質が知られている。そのため、PDIはRef-1の酸化還元状態を制御することで、Ref-1を介して転写因子の酸化還元状態を変化させているのではないかと考えて解析を進めた。その結果、TRはRef-1と相互作用しており、さらにRef-1の過剰発現細胞では、TRによる転写活性が促進されることを見出した。このことから、Ref-1はTRの転写活性を制御していることが示唆された。また、Ref-1とPDIとの相互作用も検出され、さらにPDI過剰発現細胞においてRef-1の酸化還元状態が変化していた。以上の結果から、PDIはRef-1の酸化還元状態を制御することで、TRの酸化還元状態の変化を引き起こしていることが示唆された。これらの結果に関して、Journal of Biological Chemistryに投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに、ビスフェノールAのPDI活性阻害のメカニズムについて解明し、論文として発表することができた。また今年度は、PDIの生理機能解析について、進展を得ることができ、その結果について論文として投稿中である。これらの進展状況はおおむね計画通り順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
PDIの生理機能解析において、PDIがRef-1を介してGH3細胞のT3応答の制御に関わっていることを明らかにすることができた。Ref-1はT3応答だけでなく、エストロゲン受容体を介した応答や、低酸素応答においても働いていることが報告されている。そこで、これらの応答においてもPDIがRef-1を介して関わっているのかを解明することが課題である。
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