研究課題/領域番号 |
09J08611
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
マイクロ・ナノデバイス
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 久史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2010年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2009年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 光熱変換分光法 / マイクロ流体 / ナノ流体 / 単一分子分析 / 光熱変換分光 / 拡張ナノ空間 / マイクロ化学チップ |
研究概要 |
微分干渉熱レンズ顕微鏡(DIC-TLM)と拡張ナノクロマトグラフィーを用いて数100nmサイズの流路内にaL体積の非蛍光性試料の高性能分離と高感度検出を集積化した。近年、単一細胞分析に代表される超微小量試料の分析法が強く求められている。当研究室では、これまでに拡張ナノ(10-1000nmサイズ)の流路を用いて、従来のクロマトグラフィーの原理的限界を突破する拡張ナノクロマトグラフィーを開発した。しかし、拡張ナノ空間では検出が蛍光に限られるため、分子の大多数を占める非蛍光性分子は分析の対象とならなかった。これに対して当研究室では、非蛍光性分子のバックグラウンドフリー検出を実現するDIC-TLMを開発し、非蛍光の単一分子検出や拡張ナノ空間内での濃度定量を世界で初めて実現した。そこで、DIC-TLMを拡張ナノクロマトグラフィーの検出器として利用し非蛍光性試料の高性能分離と高感度検出を集積化することを目的とした。 実験として、石英基板上に幅2.3μm、深さ250nmの流路を電子線リソグラフィーとプラズマエッチングを用いて作成し、これをカラム(固定相)とした。次に、非極性溶媒を移動相として流路内に導入し、圧力操作によって非蛍光性試料をインジェクションして分離・検出した。DIC-TLMの積算時間、移動相の組成、および流速等を最適化した結果、ピークは良好に分離され、ピーク面積から定量が可能であることも確認した。また、インジェクションされた試料の体積と分子数を計算したところ~10fL、10^7個であった。以上の結果より、超微小量の非蛍光性試料の高性能分離と高感度検出に初めて成功した。 本研究は、将来的に単一細胞・単一分子分析デバイスとして発展させることにより、遺伝子の発現メカニズムの解明やがん細胞・iPS細胞の分析を通じて学術と産業の両分野に貢献するものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、微分干渉熱レンズ顕微鏡を用いて拡張ナノ空間内の非蛍光性試料の検出を実現し、免疫分析法に応用して拡張ナノ分析デバイスを創成することを目的とした。免疫分析法をクロマトグラフィーに変更したものの、主な目的であった拡張ナノ空間への応用と拡張ナノ分析デバイスの創成には成功しており、おおむね順調であったと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、DIC-TLMを拡張ナノ空間における汎用的な検出テバイスとして利用していく。特に、光の波長以下のサイズの空間を測定できることを利用した新しい分析法の創成を推進していく。また、拡張ナノ空間では熱拡散により期待されていたよりも2~3桁感度が低下するという問題を発見したことから、新しい微細加工法や材料の探索、および装置の設計理論の構築を通じて、更に感度を向上させていく。
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