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抗争するチベット史 : チベット社会論とその語りの歴史人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09J09023
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 文化人類学・民俗学
研究機関東京大学

研究代表者

大川 謙作  東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2009 – 2011
研究課題ステータス 完了 (2011年度)
配分額 *注記
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードチベット / 歴史人類学 / 中国民族史 / 歴史の語り / チベット問題 / 社会論 / インド:中国:台湾 / 中国 / 社会史
研究概要

昨年度までの成果を引き継ぐ形で、文献研究および現地調査を推進した。
まず文献研究としては、18世紀から20世紀前半までのチベット語文献に見られる政治体制や社会制度にかんする語彙および事例を収集し、もって昨年度までの調査によって蓄積した20世紀前半のチベット旧社会の社会制度と比較する作業を行った。とりわけ『ドリン・パンディタ伝』に出現するチベットの土地制度に関する情報を体系的に収集して整理することができ、これは今後の研究にとって重要な基礎データとなるだろう。
また現地調査については夏季に中国四川省カンゼ・チベット族自治州および中国チベット自治区ラサにおいてフィールドワークを行った。中国からの投資がもたらした村落レベルにおける影響や、おラル・ヒストリーの採録をおこない、また現地研究者との研究交流を行った。さらに冬季には台湾に赴いて、民国期のチベット政策や漢人・チベット人関係についての文献収集を行うとともに、台湾漢人たちのチベット仏教信仰についての基礎データを収集した。こうした成果はこれまで対立と抗争という枠組みによって語られてきたチベット・中国関係における共生と交流の側面に光を与えるものであるといえる。
以上のような調査に加えて、編著の刊行、単行本論文集への寄稿、英文学術誌への書評寄稿、チベット語文学の邦訳、国際会議の査読、法務省からのヒアリングへの協力などを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

過去3年の研究、またその間に公刊したチベット問題の言説分析は、従来の我が国のチベット問題の理解を一歩推し進めるものであったといえ、またそのように評価されている。またアメリカで発表されたチベット社会論の分析については世界的にも高い評価を受けた。筆者はこの3年で現代チベット研究を刷新しえたと自負しており、当初の計画以上の成果があったとみなすべきだろう。

今後の研究の推進方策

今後の課題は、これまで20世紀前半に限定していたチベット社会論の分析を、18世紀および19世紀のチベット語文献に現れる社会制度に関する語彙や事例との比較にまで広げていくということである。チベット語歴史文献には社会制度に関する関心が薄いため、可能な限り多くの文献にあたってそこにまれに出現する社会制度論を丹念に拾い上げていくという作業が必要とされるだろう。

報告書

(3件)
  • 2011 実績報告書
  • 2010 実績報告書
  • 2009 実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2012 2011 2010 2009

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] チベット問題における経済言説の再検討2011

    • 著者名/発表者名
      大川謙作
    • 雑誌名

      中国21

      巻: 第34号 ページ: 163-184

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 現代チベット研究と代替民族誌の問題2010

    • 著者名/発表者名
      大川謙作
    • 雑誌名

      社会人類学年報

      巻: 第36号 ページ: 155-171

    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「記憶」をもって「忘却」に対抗する-『殺劫』日本語版の出版に寄せて2010

    • 著者名/発表者名
      大川謙作
    • 雑誌名

      東方 348

      ページ: 30-33

    • 関連する報告書
      2009 実績報告書
  • [雑誌論文] 「細い道」に関するノート2009

    • 著者名/発表者名
      大川謙作
    • 雑誌名

      火鍋子 73

      ページ: 102-102

    • 関連する報告書
      2009 実績報告書
  • [学会発表] 包摂と排除の語り:チベットから見た『周縁からの中国』2011

    • 著者名/発表者名
      大川謙作
    • 学会等名
      中国ムスリム研究会10周年記念大会(早稲田大学現代中国研究拠点その他との共催)
    • 発表場所
      東京都・早稲田大学(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-18
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] チベット解放の言説をめぐって2010

    • 著者名/発表者名
      大川謙作
    • 学会等名
      チベットの歴史と文化学習会
    • 発表場所
      文京市民センター(招待講演)
    • 年月日
      2010-07-18
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [学会発表] 現代チベット研究と代替民族誌の問題2010

    • 著者名/発表者名
      大川謙作
    • 学会等名
      東文研・ASNET共催セミナー
    • 発表場所
      東京大学東洋文化研究所
    • 年月日
      2010-07-08
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [学会発表] チベット民族誌の現在2010

    • 著者名/発表者名
      大川謙作
    • 学会等名
      ヒマラヤチベット言語文化研究会
    • 発表場所
      東京外国語大学(招待講演)
    • 年月日
      2010-06-25
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [学会発表] 近現代中国におけるチベット仏教の位相をめぐって2010

    • 著者名/発表者名
      大川謙作
    • 学会等名
      日本文化人類学会
    • 発表場所
      立教大学・新座キャンパス
    • 年月日
      2010-06-13
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書
  • [学会発表] Conflicted Tibetan Histories : Representations of Tibetan Society2009

    • 著者名/発表者名
      Kensaku Okawa
    • 学会等名
      Henry Luce Modern Tibetan Studies Program Lecture Series at Columbia University
    • 発表場所
      Columbia University (New York)
    • 年月日
      2009-11-06
    • 関連する報告書
      2009 実績報告書
  • [図書] ゲンドゥンチュンペー伝:チベットの伝説の学僧の生と死2012

    • 著者名/発表者名
      星泉・大川謙作共編
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [図書] 中国における社会主義的近代化-宗教・消費・エスニシティ「欺瞞と外部性:チベット現代作家トゥンドゥプジャの精読から」(小長谷有紀・川口幸広・長沼さやか共編)2010

    • 著者名/発表者名
      大川謙作
    • 出版者
      勉誠出版(所収論文)
    • 関連する報告書
      2010 実績報告書

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公開日: 2009-04-01   更新日: 2024-03-26  

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