研究課題/領域番号 |
09J09437
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川田 和正 東京大学, 宇宙線研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | ガンマ線 / 拡散ガンマ線 / 銀河系 / ミューオン / チェレンコフ光 / 宇宙線 / 空気シャワー / チベット |
研究概要 |
当該研究課題では、中国チベット自治区羊八井(ヤンパーチン、標高4300m)に設置されているチベット空気シャワー観測装置の地下2.5mに大面積の地下プールから成る「水チェレンコフ型ミューオン観測装置」を新たに設置し、超高エネルギー(VHE=Very High Energy)ガンマ線に対するバックグラウンドノイズを大幅に低減して感度を劇的に向上させる計画である。そして、この新しい観測装置を用いて我々の住む天の川銀河からのVHE宇宙ガンマ線を、超低ノイズ・広視野という利点を生かし世界で初めて観測することを目指す。 前年度迄に、合計で約四千平米の地下ミューオン観測装置の躯体の建設が完了している。当該年度においては、完成したミューオン観測装置への20インチ光電子増倍管(PMT)等の観測設備のインストール及び建設のため撤去されていた地上部分の空気シャワーアレイ検出器の回復作業を行った。今年度の5月から、空気シャワーアレイの回復を行い、その後、プール内壁への防水材の塗装及び高反射素材(タイベックシート)の接着を行った。また、光センサーである20インチPMTを地下ミューオン観測装置内にインストールし、データ収集装置の調整を行った。さらに、約100平米のミューオン観測装置のデータを用いて、ガンマ線と宇宙線バックグラウンドノイズを区別し、銀河面からの200TeV以上のガンマ線の探索を行った。約80%のガンマ線信号を残しつつ約90%の宇宙線バックグラウンド除去に成功した。その結果、有意なガンマ線信号は見つからなかったが、銀河面からの拡散ガンマ線に対する上限値を得た。この結果は2011年に北京で開催された宇宙線国際会議(ICRC)で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該計画の目標である大面積(~四千平米)の水チェレンコフ型ミューオン観測装置が完成した。また小面積(~100平米)ではあるが、ミューオン観測装置によってガンマ線と宇宙線バックグラウンドノイズが区別できることを確認した。これにより、銀河面からの拡散ガンマ線の探索を行いガンマ線信号の上限値を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
大面積の水.チェレンコフ型ミューオン観測装置を本格的に稼働させ長期間観測することで、さらに高感度で銀河面からのガンマ線の探索を行う。今後、ガンマ線と宇宙線バックグラウンドを区別する方法がまだ最適化されていないため、この部分のソフトウェアのアップデートを行いデータ解析によるさらなる感度向上を目指す。
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