研究概要 |
今年度は,昨年度より取り組んでいる[1]量子ノイズレスサブシステムの制御についての成果の発表を行うとともに,その内容を発展させた課題である[2]デコヒーレンスの影響のもとでの量子状態集合の安定化制御問題,および[3]量子ネットワークシステムにおける量子もつれ状態の制御に関する文献調査を行い,モデリングや数値シミュレーション解析など多方面からの考察も行った. [2]では一般的な有限次元量子系を対象としており,デコヒーレンスのもとで安定化できるための必要十分条件を導出し,さらに安定化のためにフィードバック制御が必要となるシステムのクラスを明らかにした.ここで得られた知見は,量子もつれ状態の制御といったより応用上重要なクラスの制御問題に対しても適用が可能であり,研究課題である量子ネットワークシステムにおいて,現実的な実験系における量子もつれ状態制御問題を考える際に生じるデコヒーレンスの影響を考察するための指針を与える.なお,本研究は6月から11月の間イタリアに留学した際に取り組んだものである. [3]では研究課題である量子ネットワークシステムの制御を考えるための基礎となるモデリング,また文献調査を行った.さらに,最も簡単なP制御による制御シミュレーションを行い,モデリングの有効性を検証した. [1]では昨年より取り組んでいるノイズレスサブシステムの制御についての成果を国際会議にて発表した.また1編の学術論文を発表した.
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