研究課題/領域番号 |
09J09821
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
実験心理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
綿村 英一郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2010年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 応報的動機 / 潜在 / 量刑判断 / 刑事裁判 / 応報 / 直感 / Implicit Association Test |
研究概要 |
前年度は、Implicit Association Testによる潜在レベルの応報的動機を測定する方法を考案しその妥当性について検証した。平成23年度は、この方法を用いた3つの実験を行い、潜在レベルではたらく応報的動機について多角的に検証した。1つ目の実験では、参加者を2群に分け、一方の群には重犯罪を、もう一方の群には軽犯罪の犯罪資料を呈示した。それぞれの犯罪資料を呈示した前後で、潜在レベルの応報的動機の活性化に違いがみられるかどうかを調べたところ、重犯罪を呈示した群において特に顕著な活性化が確認された。2つ目の実験では、参加者に(1つ目の実験と同じ)重犯罪を呈示すると同時に、被告人の処遇に関する情報を与えた。その結果、「被告人が厳しく罰されなかった」という内容の情報を与えられた群では応報的動機が活性化したが、「被告人が厳しく罰された」という情報を与えられた群では活性化がみられなかった。これら2つの実験から、潜在レベルの応報的動機は殺人事件のような重犯罪において特に強くはたらき、被告人を罰するという目的に基づくことも示している。最後の実験では、活性化させられた潜在レベルの応報的動機が、どのようなプロセスを経て我々の実際の判断に影響を及ぼすのかを検証した。先行研究においてそのような想定は既にあったものの、具体的なプロセスは全く明らかにされていなかった。実験の結果、潜在レベルの応報的動機はそれ単独では影響しないものの、応報的な判断を正当化できるような情報を前提として、量刑判断にも影響を及ぼしうることが確かめられた。 これら一連の研究は、犯罪の重大性に応じた刑罰を求めようとする心理が、我々の自覚が及ばない(潜在)レベルにおいてすでにはたらいていること、および他の判断材料との関係性によって影響しうることを明らかにしており、一般市民の司法参加に関して重要な示唆を与えていると考えられる。
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